ねじの回転:私の深読みも二転三転

最初に読んだときはピンとこなくても、何度も繰り返し読むうちに、だんだんとおもしろくなってくる本というのがありますが、これはその1冊。

ねじの回転』ヘンリー・ジェイムズ著 蕗沢忠枝訳 新潮文庫

あまりに有名な小説ですが、一応さわりを書いておきましょう。
毎晩、暖炉をかこんで怪談話をしていた人々。ある夜のこと、そのなかのひとりがもの凄い話を知っていると言い出した。それは、20年前に死んだ女性が彼に残した手記だった。
 その女性は、20才のときに初めて家庭教師の職についた。そして古い貴族屋敷にひっそりと暮らす、両親をなくした幼い兄妹の世話をすることになるのだが…

ここまでが前置き。本筋は、次のうちどれでしょう。
(1) 邪悪な亡霊から子どもを守るべく、孤軍奮闘する若い女家庭教師の物語

(2) 初めての仕事に舞い上がった家庭教師が、気負うあまり、だんだん追いつめられて幻覚を見るようになり、頭がおかしくなっていく物語

(3) 天使のように美しいと見せかけて実は邪悪な子どもたちに翻弄される家庭教師の物語

(4) 親切な女中頭のグロース夫人の巧みな罠に、知らず知らずのうちにはまって破滅していく家庭教師の物語


文字通り素直に読むなら(1)です。しかし、肝心の亡霊は家庭教師である「私」にしか見えないのだった。はたして「私」は信頼できる語り手なのか?と疑いだすと、もう(2)の家庭教師の妄想としか思えなくなってくる。亡霊は本当にいたのか、それとも家庭教師の幻覚か、について議論されるのが一般的。

でもね、子どもたちも手放しで「天使みたいにいい子」とは言えない気がしますよ。子どもは意地悪なところがありますからね。ただし、最後の展開を考えると、(3) の場合は、亡霊は存在していて、さらに子どもたちとグルだった、と考えたほうがいいかも。

(4)は、やや無理矢理ですが、今回、再読した私は、女中頭のグロース夫人はかなり怪しいという気分でいっぱいです。グロース夫人は純朴そうでいて、非常にしたたかなんじゃないかという気がしてなりません。そんなわけで、いまの私はグロース夫人黒幕説を推したいところです。

本作は、あれこれ投げっぱなしで唐突に物語が終わるので、初めて読んだときは、「ええー、終わり!? で、結局どういうことなのさ!!」と唖然といたしましたが、謎が永遠に謎のままなので、読み返すたびに深読みできるので楽しいですよ。タイトル通り、ねじがグルグル回る感じが味わえます。
[PR]
トラックバックURL : http://springroll.exblog.jp/tb/11668372
トラックバックする(会員専用) [ヘルプ]
※このブログはトラックバック承認制を適用しています。 ブログの持ち主が承認するまでトラックバックは表示されません。
Commented by sei at 2009-08-06 02:37 x
うわー、なつかしーぐるぐる感です。いますぐ読み返したくなり、本棚探しましたが見つからずぐるぐるしちゃいました。
Commented by rivarisaia at 2009-08-07 00:06
こんど、おかししましょうかー。グロース夫人黒幕説のづもりで読んでみるとそうとう黒い気分になれますよー。
by rivarisaia | 2009-08-06 02:17 | | Trackback | Comments(2)

見たもの読んだものについての電子雑記帳


by 春巻まやや
プロフィールを見る