『夜更けのエントロピー』から「最後のクラス写真」

台風のせいか、いまひとつ気分がパッとせず、しかも寒い…。もうちょっとこう、残暑を味わいたいんですけど、明日は台風一過で暑くなるかしら。

さて、この夏の読書もどうもパッとしなかったんですが、ひとつ印象に残る短編が。いまでもときどき思い返して涙腺がゆるむね。
b0087556_23533286.jpg

夜更けのエントロピー』ダン・シモンズ著、嶋田 洋一訳、河出書房新社

河出の奇想コレクション。出版されたのは数年前ですが、私はダン・シモンズとはどうも相性があわないので避けてました。相性あわないとか言いながら、本書の短編はおおむねおもしろく読みました。吸血鬼、ゾンビ、ベトナム戦争、生と死、というモチーフ。収録された作品全部が好きなわけでもないんだけど。

しかし。このなかの1篇「最後のクラス写真(This Year's Class Picture)」はすばらしすぎる。いや、参りました。もう私のなかでダン・シモンズの代表作はコレ。これだけ読んでもらえればいいくらい。出だしからして、一体全体なんなの?というシチュエーションが展開されます。

小学校の女教師が主人公の、悲しく絶望的な日常に差すひとすじの希望の物語。ホラーだけど、壮絶なアクションもあるし、愛もあるのよ。全米は泣かないかもしれないが、私は最後に泣きました。何度も読み返して、脳内で映画化したほどです。うまく映画化されるなら観てみたいなあ。ヘタに映画化するとB級っぽくなっちゃいそうだけど。

大人の暴力や虐待、残酷な社会から「38年にわたって、力のかぎり子どもたちを守ってきた」ギース先生。ギース先生の絶望と憔悴がずしりと実感できれば、1枚のクラス写真が映し出したものに涙することでしょう。

と、私は大絶賛ですが、ジャンルとしてはグロいシーンもあるっちゃあるというホラーですので、あしからず。
[PR]
トラックバックURL : http://springroll.exblog.jp/tb/11841909
トラックバックする(会員専用) [ヘルプ]
※このブログはトラックバック承認制を適用しています。 ブログの持ち主が承認するまでトラックバックは表示されません。
Commented by らら at 2009-09-01 23:27 x
わたしが読んだ奇想コレクションの中はこれと『ふたりジャネット』が好みでした。といいつつ、「最後のクラス写真」の詳細をわすれている…。今度実家に帰った時に読み直します!
Commented by rivarisaia at 2009-09-02 23:42
『ふたりジャネット』まだ読んでないので、さっそく読んでみます!表題作やルーマニアの吸血鬼の話も好きだけど、「最後のクラス写真」はオチが予想外に感動的でした(涙)
by rivarisaia | 2009-08-31 23:59 | | Trackback | Comments(2)

見たもの読んだものについての電子雑記帳


by 春巻まやや
プロフィールを見る