最終目的地:ピーター・キャメロンはいいなあ
2009年 10月 29日
ピーター・キャメロンはデビュー作『One Way or Another(邦訳:ママがプールを洗う日)』以来、けっこう気に入っている作家で、どこが好きかと言われると困るんですけど、日常のなかでちょっとした不幸に見舞われても、ただぼんやりと佇み、淡々としている人々の描写にやや共感を覚えるからでしょうか。
そんなキャメロンの2002年の長篇の翻訳。
『最終目的地』ピーター・キャメロン著、岩本正恵訳 新潮クレストブックス
キャメロンの登場人物は、いつも慌てず騒がず、なんでそうなっちゃったんだろうなあと、遠い目をしているような気がします。私もしょっちゅう遠い目になるので、少し親近感が湧く。あと、キャメロンの小説には必ずゲイの人たちが登場するのも特徴的。
本作に関しては、主人公の恋人としてやたらと元気でパワーのある、慌てて騒ぐタイプの女性が登場します。遠い目になっちゃうほかの登場人物のなかで、彼女はひとり浮きまくっていて、読んでいる私もたまにイラッときましたが、結果的には彼女がさらに波紋を広げたおかげでよい方向に動いていきます。しかも彼女はとてもいい人だった。イラッとしてごめん。
なんとなくふしあわせな状態のまま立ちどまっていたみんなの人生が、ちょっと幸せな方向へとゆるやかに変化していく物語でした。やっぱりキャメロン、好きだわー。
裏表紙に「イギリス古典小説の味わいをもつ」とあるんですが、ほんとにイギリスの小説のような印象で、本作は映画化も決定しているんですが、監督はジェイムズ・アイヴォリー。妙に納得。ちなみに作家の兄がアンソニー・ホプキンスでその恋人は真田広之なので、日本でも公開されるかもね。キャメロンの小説が映画化かーと思うと感慨深い。
そんなキャメロンの2002年の長篇の翻訳。
『最終目的地』ピーター・キャメロン著、岩本正恵訳 新潮クレストブックス
南米ウルグアイの人里離れた邸宅にひっそりと暮らす、自殺した作家の妻、作家の愛人と小さな娘。邸宅の近くには、作家の兄とその恋人の青年が住んでた。すべてをあきらめてしまったかのような、なにもかも停滞した日々。
ある日そこに、作家の伝記の執筆許可を得るべく、アメリカの大学院生がやってくる。突然の訪問者に、静かな日々に波紋が広がっていく…
キャメロンの登場人物は、いつも慌てず騒がず、なんでそうなっちゃったんだろうなあと、遠い目をしているような気がします。私もしょっちゅう遠い目になるので、少し親近感が湧く。あと、キャメロンの小説には必ずゲイの人たちが登場するのも特徴的。
本作に関しては、主人公の恋人としてやたらと元気でパワーのある、慌てて騒ぐタイプの女性が登場します。遠い目になっちゃうほかの登場人物のなかで、彼女はひとり浮きまくっていて、読んでいる私もたまにイラッときましたが、結果的には彼女がさらに波紋を広げたおかげでよい方向に動いていきます。しかも彼女はとてもいい人だった。イラッとしてごめん。
なんとなくふしあわせな状態のまま立ちどまっていたみんなの人生が、ちょっと幸せな方向へとゆるやかに変化していく物語でした。やっぱりキャメロン、好きだわー。
裏表紙に「イギリス古典小説の味わいをもつ」とあるんですが、ほんとにイギリスの小説のような印象で、本作は映画化も決定しているんですが、監督はジェイムズ・アイヴォリー。妙に納得。ちなみに作家の兄がアンソニー・ホプキンスでその恋人は真田広之なので、日本でも公開されるかもね。キャメロンの小説が映画化かーと思うと感慨深い。
こんばんは。
ピーター・キャメロン読んだ覚えがありますが、何を読んだんだ?
と思ったらおそらく「ウィークエンド」だった気がします。
たぶん(ですが)
たしか、ラストに、何とか幸せになってほしいな・・・とおもった気持ちがあった記憶があります。
ピーター・キャメロン読んだ覚えがありますが、何を読んだんだ?
と思ったらおそらく「ウィークエンド」だった気がします。
たぶん(ですが)
たしか、ラストに、何とか幸せになってほしいな・・・とおもった気持ちがあった記憶があります。
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まるま
at 2009-10-30 20:03
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この作品もいいですね。映画化決定とは。日本で公開してほしいです。まずは予告編を見たいなあ。
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rivarisaia at 2009-10-31 00:39
>fontankaさん
『ウィークエンド』も、過去と現在の板挟みのような話でしたよね。キャメロンって、過去をちょっとひきずっているような人々のいま、を描くのがうまいのかも。
で、みんな幸せになるといいなあ、と最後に思っちゃうんですよね。
『ウィークエンド』も、過去と現在の板挟みのような話でしたよね。キャメロンって、過去をちょっとひきずっているような人々のいま、を描くのがうまいのかも。
で、みんな幸せになるといいなあ、と最後に思っちゃうんですよね。
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rivarisaia at 2009-10-31 00:53
>まるまさん、
映画版は、IMDbを見るとなんかモメてるらしく、一般公開日がまだ決まってないみたい。
でも映画祭では上映されてるみたいで、東京映画祭でもオールナイトでやってた『真田広之の世界』にて日本初上映されたみたいですよ。
まさか、お蔵入りしないよね...。何があったんだろ。
映画版は、IMDbを見るとなんかモメてるらしく、一般公開日がまだ決まってないみたい。
でも映画祭では上映されてるみたいで、東京映画祭でもオールナイトでやってた『真田広之の世界』にて日本初上映されたみたいですよ。
まさか、お蔵入りしないよね...。何があったんだろ。
気になったので図書館で「ウィークエンド」をチェック。せつなくなりました。
キャメロンは、切なかったのでこれ以外読んでません。
で、ふといろいろ本を調べて、ちょっと違うのですが、比較的ハッピーエンド(?)のデーヴィット・レーヴィットを読みました(この人フィレンツェ本を書いていたのでそこから・・)
キャメロンは、切なかったのでこれ以外読んでません。
で、ふといろいろ本を調べて、ちょっと違うのですが、比較的ハッピーエンド(?)のデーヴィット・レーヴィットを読みました(この人フィレンツェ本を書いていたのでそこから・・)
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rivarisaia at 2009-11-08 23:38
キャメロン、切なくなりますよね。『最終目的地』はキャメロンにしてはハッピーエンドで、切なくなる部分は当然あるんですけど、キャメロンにしてはずいぶん明るいです。
デーヴィット・レーヴィット私も読んでみますー。フィレンツェのやつまだ読んでないんですよ。
デーヴィット・レーヴィット私も読んでみますー。フィレンツェのやつまだ読んでないんですよ。
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Cara_Gra at 2009-11-12 15:06
私もピーター・キャメロン大好きです。
One Way or Anotherは映画化されているハズなんですがビデオ等見つからず。
One Way or Anotherは映画化されているハズなんですがビデオ等見つからず。
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rivarisaia at 2009-11-12 23:23
by rivarisaia
| 2009-10-29 03:33
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