女ともだち
2009年 11月 04日
パヴェーゼの小説が原作の映画。パヴェーゼって、私は『美しい夏』しか読んだことがないのですが、『美しい夏』はそのタイトルに反してトリノの冬はひたすら寒いという印象がある。そんな印象しか残ってなくてすみません。
『女ともだち(Le Amiche)』監督:ミケランジェロ・アントニオーニ
うわべだけの友情はけっこう簡単に崩壊する。人間関係は意外ともろいものであるという話で、登場する5人の女性はしっかり者とダメ子さんのふたつのグループに分類できます。
以下、物語の結末にふれています。
●しっかり者グループ
クレリア:主人公。ローマの洋装店からトリノ支店に赴任のキャリアウーマン。気づいたら婚期を逃していたが、トリノで彼氏ができる。職場にて客の前で友人にブチ切れてしまったことでクビを覚悟し、彼氏との結婚を決意するも、「このまま結婚してもいつかお互いに不幸になる。やっぱり仕事を選ぶわ!」と気を変えてローマに戻る。恋より仕事を選んだ人。
ネネ:彫刻家として注目され、ニューヨークでの個展をオファーされる。夫のロレンツォは冴えない画家の夫ロレンツォは、友人ロゼッタと不倫中。そのことを知ってはいるけど「あの人が立ち直るためなら私、身を引くわ...」と気丈な発言。結局夫が戻ってきて、自分はニューヨーク行きをあきらめる。仕事より恋を選んだ人。
●ダメ子さん
ロゼッタ:自殺未遂女。クレリアに雇ってもらったのに、仕事もちゃんと務まらないし、友人の夫と不倫はするし、かといってうまく立ち回れるわけでもなく、自分のことしか考えてない、あるいは自分のことすら考えてないのかも。結局は不倫相手に振られたショックで本当に自殺してしまう。
モミーナ:究極おせっかい人間。いい人なのかも…と思わせておいて、結局は押しが強くて何にも考えてない女だということが判明。ロゼッタとネネの夫の不倫を煽る張本人。「お前が煽るからロゼッタが死んだんだ!」とクレリアに罵倒される。
マリエッラ:アメリカで言うところの空気頭(エア・ヘッド)なブロンド美人。もっとも何も考えてない人物で、あまりに何も考えてなさすぎて、逆にいちばん無害。こういう人がひとりくらいいてもいいか、とすら思った。
しっかり者はそれなりによい結末を迎え、ダメ子さんは永久にダメ子さんなのでありました。ダメ子さんの場合、本人だけが不幸になるだけでなく、周囲にダメ・エネルギーをまき散らして他人にまでダメージを与える点がすばらしいダメっぷり。
クレリアとネネは仕事と恋の両立ならず、という結末でしたけど、あのふたりならそのうち両立できそうな気もします。クレリアはローマで出会いがあるかもしれないし、ネネも二度目のチャンスがくるかもしれない。このふたりはその後も連絡取り合って友だちづきあいを続けそうな気もする。
ただし、クレリアは、一歩間違えると「正義感の強いおせっかいさん」になりかねないので、じゅうぶん気をつけてもらいたいものです。しかも彼氏をふったときの、あの心変わりの早さには仰天しました。ついさっきまで結婚する気満々だったじゃん! 彼氏に逆ギレされなくてよかったね。彼のほうはあまりの展開に茫然自失だったのかもしれないけど。そう考えるとネネがいちばん大人なのかも。
パヴェーゼ、ネオレアリズモ文学の代表作家といわれるだけあって、厳しい冬のような印象を残す物語を紡ぐ人なのかなあ。これを機に、小説もいくつか読んでみよう。
『女ともだち(Le Amiche)』監督:ミケランジェロ・アントニオーニ
50年代のトリノ。ローマからトリノに赴任してきたクレリア(エレオノーラ・ロッシ・ドラゴ)は、滞在していたホテルの隣の部屋で起きた自殺未遂騒動をきっかけに、何人かの女ともだちができるのだが…。
うわべだけの友情はけっこう簡単に崩壊する。人間関係は意外ともろいものであるという話で、登場する5人の女性はしっかり者とダメ子さんのふたつのグループに分類できます。
以下、物語の結末にふれています。
●しっかり者グループ
クレリア:主人公。ローマの洋装店からトリノ支店に赴任のキャリアウーマン。気づいたら婚期を逃していたが、トリノで彼氏ができる。職場にて客の前で友人にブチ切れてしまったことでクビを覚悟し、彼氏との結婚を決意するも、「このまま結婚してもいつかお互いに不幸になる。やっぱり仕事を選ぶわ!」と気を変えてローマに戻る。恋より仕事を選んだ人。
ネネ:彫刻家として注目され、ニューヨークでの個展をオファーされる。夫のロレンツォは冴えない画家の夫ロレンツォは、友人ロゼッタと不倫中。そのことを知ってはいるけど「あの人が立ち直るためなら私、身を引くわ...」と気丈な発言。結局夫が戻ってきて、自分はニューヨーク行きをあきらめる。仕事より恋を選んだ人。
●ダメ子さん
ロゼッタ:自殺未遂女。クレリアに雇ってもらったのに、仕事もちゃんと務まらないし、友人の夫と不倫はするし、かといってうまく立ち回れるわけでもなく、自分のことしか考えてない、あるいは自分のことすら考えてないのかも。結局は不倫相手に振られたショックで本当に自殺してしまう。
モミーナ:究極おせっかい人間。いい人なのかも…と思わせておいて、結局は押しが強くて何にも考えてない女だということが判明。ロゼッタとネネの夫の不倫を煽る張本人。「お前が煽るからロゼッタが死んだんだ!」とクレリアに罵倒される。
マリエッラ:アメリカで言うところの空気頭(エア・ヘッド)なブロンド美人。もっとも何も考えてない人物で、あまりに何も考えてなさすぎて、逆にいちばん無害。こういう人がひとりくらいいてもいいか、とすら思った。
しっかり者はそれなりによい結末を迎え、ダメ子さんは永久にダメ子さんなのでありました。ダメ子さんの場合、本人だけが不幸になるだけでなく、周囲にダメ・エネルギーをまき散らして他人にまでダメージを与える点がすばらしいダメっぷり。
クレリアとネネは仕事と恋の両立ならず、という結末でしたけど、あのふたりならそのうち両立できそうな気もします。クレリアはローマで出会いがあるかもしれないし、ネネも二度目のチャンスがくるかもしれない。このふたりはその後も連絡取り合って友だちづきあいを続けそうな気もする。
ただし、クレリアは、一歩間違えると「正義感の強いおせっかいさん」になりかねないので、じゅうぶん気をつけてもらいたいものです。しかも彼氏をふったときの、あの心変わりの早さには仰天しました。ついさっきまで結婚する気満々だったじゃん! 彼氏に逆ギレされなくてよかったね。彼のほうはあまりの展開に茫然自失だったのかもしれないけど。そう考えるとネネがいちばん大人なのかも。
パヴェーゼ、ネオレアリズモ文学の代表作家といわれるだけあって、厳しい冬のような印象を残す物語を紡ぐ人なのかなあ。これを機に、小説もいくつか読んでみよう。
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minaco.
at 2009-11-11 00:53
x
先日、BSでやってたので観ました~。
なんだか、昔こういう友人が周りにもいたなーと思わせる面々で、ちょっと身につまされます。それにしても男性陣が情けなかったですね。アントニオーニって「ザ・不条理&ザ・不毛」なイメージですけど、確かにこの作品でもみんなハッピーエンドじゃなくて不毛だわ…。アントニオーニ大好きです。
>厳しい冬のような印象
イタリアなのに、シーズンオフで寒々しい海が印象的でした。
それに、女性達が着てる立派な毛皮にとっても目が行きました。今じゃ有り得ないですね。
なんだか、昔こういう友人が周りにもいたなーと思わせる面々で、ちょっと身につまされます。それにしても男性陣が情けなかったですね。アントニオーニって「ザ・不条理&ザ・不毛」なイメージですけど、確かにこの作品でもみんなハッピーエンドじゃなくて不毛だわ…。アントニオーニ大好きです。
>厳しい冬のような印象
イタリアなのに、シーズンオフで寒々しい海が印象的でした。
それに、女性達が着てる立派な毛皮にとっても目が行きました。今じゃ有り得ないですね。
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rivarisaia at 2009-11-12 01:08
あら、BSでまた放映してたんですねー!
『女ともだち』なだけあって、男性陣はかなり影が薄いというか、いや、薄くはないかもしれないけど、十把一絡げ状態...。
突然自殺したり、突然別れを決意したり、何もかも突然なところに不条理さを感じます。アントニオーニいいですよね〜。
パヴェーゼ、私はすっかり「寒々しい印象」になってしまいました。舞台がトリノだからでしょうか。日本でいうところの「冬の日本海」みたいな雰囲気なんですよね。
それにしてもあの毛皮...みんなけっこうお金持ちという設定なの?
『女ともだち』なだけあって、男性陣はかなり影が薄いというか、いや、薄くはないかもしれないけど、十把一絡げ状態...。
突然自殺したり、突然別れを決意したり、何もかも突然なところに不条理さを感じます。アントニオーニいいですよね〜。
パヴェーゼ、私はすっかり「寒々しい印象」になってしまいました。舞台がトリノだからでしょうか。日本でいうところの「冬の日本海」みたいな雰囲気なんですよね。
それにしてもあの毛皮...みんなけっこうお金持ちという設定なの?
by rivarisaia
| 2009-11-04 18:50
| 映画/洋画
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Comments(2)