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ミュージック・オブ・ハート

なんだかリクエストもございましたので、映画版の感想もさっさと書いておきましょう。あわせて観るとよいと思いますよ。生徒役で実際の教え子が登場しますし(ホセとか!)、有名演奏家もご本人が登場します。

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ミュージック・オブ・ハート(Music of the Heart)』監督:ウェス・クレイヴン

先日書いたドキュメンタリー『ハーレムのヴァイオリン教室』をもとに、メリル・ストリープ主演で映画化したのが本作です。

夫に捨てられてしまい、女手ひとつでふたりの息子を育てなくちゃならなくなったロベルタは、ヴァイオリンの臨時教員の職にありついた。が、その学校に通う子どもたちの家庭環境はかなり荒んでいた…

というところから物語はスタート。校長先生もロベルタの採用にはまったく乗り気じゃないし、ある黒人生徒の母親は「なんで白人の音楽をやんなきゃなんないのさ」と子どもが授業に通うのをやめさせようとする。ようやく授業が軌道に乗ってきたかと思えば、今度は自分の息子がグレていた...とまあ、前半は、ロベルタ先生の山あり谷ありヴァイオリン・クラス奮闘記という感じです。

が、ロベルタ先生のすごいところは、後がナイというせいもあるでしょうが、とにかくメゲないところ。これはふつうの人にはなかなかできないと思うよ。ロベルタ先生のヤル気が周囲の人に伝染していき、いつのまにかまわりのみんなが超ヤル気になっている。伝染するんですよ、ロベルタ先生のヤル気は。

「頼んでもないのに、スラムの子どもを救おうとする白人教師っているのよね」と前述の黒人生徒の母親にイヤミを言われても、「救う気なんてさらさらないし、こっちだって自分の子どもを養うために仕事でやってんの!しかもあんたは、自分の子どもが生き生きした顔で弾いてるの知らないでしょ!」と言いかえす。そして、この母親もやがては先生の協力者になっていくのであった。

映画の後半は、クラスが大人気になり、家庭内の問題も解決して順風満帆の10年後。

突然の市の予算カットで存続の危機に立たされるヴァイオリン・クラス。クラスの継続資金のチャリティ・コンサートを開くことになったが、コンサートの6週間前、会場の「92nd Street Y(YMHA)」が使用できなくなるというアクシデントが。さあ、どうなる!


ロベルタ先生のヴァイオリン・クラスの受難はつづくのですが、今度はロベルタ先生とまわりのみんなの奮闘記、に変化しています。生徒はもちろん、校長先生も親たちも友人も、反抗期だった息子たちも協力者になってるよ。

すごいね、ロベルタ先生のヤル気。

むしろ先生のほうが弱気になって、まわりに助けてもらったりしてるのよ。当初の会場(字幕だとYMCAになってた気がしますが、YMHAの間違いですよね)がダメになって、カーネギーホールって、弾くほうも足がすくむと思うんだけど、ドキュメンタリーでもわかるように実際のコンサートの演奏はすばらしかったし、ホールは下から上まで満席状態でした。

ロベルタ先生はまさにガチ。

ガチの情熱は氷を溶かし岩をも動かす、いや、岩ですらガチのために自ら動く、というよい見本のような話です。

足が悪くてしっかり立てない生徒に「人間はね、足だけで立つんじゃない。気持ちで立つのが大事なのよ」とロベルタ先生は言うわけですが、大きくなったその少女とイツァーク・パールマンが同じ舞台に立っている姿も象徴的でした。パールマンも幼い頃の病気で下半身が不自由になったけど、夢をあきらめずにヴァイオリニストとなった人です。

とまあ、このように素直に感動できる本作品ですが、実は私がいちばん感動したのは、

監督がウェス・クレイヴン

という点だ。『エルム街の悪夢』も『スクリーム』も傑作ですものねえ。しかもこれでホラー路線から離れるのかと思いきや、いまも変わらずホラー街道まっしぐらというところもすてき。本作だって、こだわり屋のウェス・クレイヴンじゃなかったら、中途半端な感動作になったんじゃないかという気もしないでもないですよ。ウェス・クレイヴンもガチですね、きっと。
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Commented by hana at 2009-11-21 21:49 x
これ観ました。田舎に住んでいた頃、ちっちゃな映画館で。

そして、なんとヴァイオリンを習い始めてしまいました。本当です。

が、習い始めて1年後、発表会(それもキラキラ星もやりました!)を
やって一旦終了。

ある意味思い出深い映画です。

今度はドキュメンタリーの方を観てみたいと思います。


Commented by minaco. at 2009-11-23 00:56 x
催促してしまってすみません…。良い話だな~と思ってみてて、実は監督ウェス・クレイヴン!だったら衝撃ですね。そういやオムニバス映画『パリ・ジュテーム』の中でも、非ホラーの小品で驚いた記憶が。

社交ダンス授業の先生『レッスン』のバンデラスも物凄いやる気でしたよ。
当初はメリル・ストリープでちょっと敬遠してしまったんですけど、是非観たくなりましたー。

ついでに、They Might Be Giantsなつかしい~!昔はよく聴きましたよ。ビデオは初めて見ますが、イイですね♪
Commented by rivarisaia at 2009-11-24 23:30
>hanaさん
これ観るとヴァイオリン習いたくなるかも。
弦楽器始めたばかりの人におすすめしたい映画です。

しかもやってる曲が「鈴木メソード」なんですよね。
私もチェロ習いたてのときは「キラキラ星」やりました!

ドキュメンタリーは淡々としてますが、子どものリアクションがおもしろいですよ!
Commented by rivarisaia at 2009-11-24 23:33
>minaco.さん

もうウェス・クレイヴンったらいい人すぎる〜。『パリ・ジュテーム』でも非ホラーでしたね。長編の非ホラーはいまのところ、コレ1本ですよ。

メリル・ストリープはエネルギッシュな感じがよく出ておりました。バンデラス先生はラテンの情熱がムンムン漂ってましたよね。バンデラス先生なら社交ダンス習いたい(じつは、私、そのむかし社交ダンスを習っていたという過去が...先生が...ちょっと...で挫折)

「They Might Be Giants」もうとてつもなく好きだったんです〜。いまの元気に活躍していてよかった、よかった。
by rivarisaia | 2009-11-20 23:43 | 映画/洋画 | Comments(4)