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見たもの読んだものについての電子雑記帳


by 春巻まやや
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イングロリアス・バスターズ

ねえ、みんな、果たせなかったユダヤ人の夢をタランティーノが叶えてくれたよ!という映画でございます。
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イングロリアス・バスターズ(Inglourious Basterds)
監督:クエンティン・タランティーノ

ナチス占領下のフランス。レイン中尉率いる特殊部隊"イングロリアス・バスターズ"は、ナチス兵を次々と血祭りにあげていた。いっぽう、"ユダヤ・ハンター"の異名をとるランダ大佐の魔の手から逃れたユダヤ人ショシャナは、パリで映画館を経営。偶然にもバスターズとショシャナはそれぞれパリでのナチス撲滅作戦を計画する…


善も悪も紙一重。善人と悪人の違いって、冒頭に出てくるリスとネズミの違いみたいなものなのよ。どいつもこいつもイイ人なんだか悪い人なんだかハッキリしないけど、そこがいい。なかでもすばらしいのがユダヤ人ショシャナとナチスのランダ大佐。私としては本作の表の主演はショシャナで、影の主演はランダ大佐。

ランダ大佐は徹底してナチなのかと思いきや、意外と社会の動きに敏感といいますか、チャッカリものの世渡り上手とみた。

いっぽうで映画好きの若いナチス兵ツォラーはウザかったですね。根はいい人なのか?と思わせておいて、最終的には「チヤホヤされてカン違いしてる坊ちゃん本性」がむき出しになったので、あ、やっぱりコイツ最低と思った次第です。ランダ大佐のウィットを見習ってほしいものです。

バスターズを率いるブラッド・ピットは端役みたいなもんですが、南部なまりのアホ全開野郎でよかったです。ブラピ(とキアヌ)はアホに限るといいますか、私は「イカれたブラピなら好き」というスタンスなので、カッコいいブラピがみたい人には本作はおすすめしません。

大体からしてブラピときたら「I speak the most Italian」とか言ってたくせに、お前のそのイタリア語はなんなんだ!?(笑) ブラピが「ブォンジョルノ」と言っただけであんなに笑えるとは思わなんだ。ちなみにランダ大佐はイタリア語も流暢ですよ!

ナチス兵をバットで撲殺するバスターズの"ユダヤの熊"役にイーライ・ロス。イーライもユダヤ人ですものねえ。嬉々...もとい鬼気迫ってましたね! 最後のほうのアノ場面なんて、虐殺された全ユダヤ人の魂を背負い込んで演じてた気がします。タランティーノとイーライの深い友情がなせる技。

さて、阿鼻叫喚のユダヤ復讐劇が展開される本作ですが、何気ないようでいて、じつは水面下でテンション張りつめた会話シーンが満載。相手の心が読めなくてハラハラしたり、フランス語・英語・ドイツ語・イタリア語と"言語の違い"がカギになっていたり、腹の探り合いの言葉のかけ引きが非常にスリル満点。シュトゥルーデルになんでミルク頼むの?うすうす気づいてたの?それとも偶然?どっちー?

物語では、いかようにも歴史を書き換えることは可能。それを映画でやるならば、やっぱりアノ場面の舞台は映画館であるべきだったのでしょうね。プロパガンダ映画なんか燃えてしまえ!
Tracked from 愛すべき映画たち at 2009-11-28 22:46
タイトル : イングロリアス・バスターズ
映画を愛する世界中の同士たちへ、タランティーノからの熱き想い、これが映画の力だ! というわけで今回は、待ちに待ったタランティーノ最新作、『イングロリアス・バスターズ』です。 まだまだ公開が始まっぎ..... more
Tracked from 悠久の華美 at 2009-12-02 23:22
タイトル : イングロリアス・バスターズ 2009-53
良く考えられて作られてる映画だと思う、そのまま1本の映画として公開したら今と同じ評価が出来たかな?この映画5部構成になってて、その1章、1章に緊迫するシーンを散りばめている、わざとチャプターを切る事に...... more
Tracked from シネマ親父の“日々是妄言” at 2009-12-22 02:08
タイトル : 「イングロリアス・バスターズ」フィクションだよ!
[イングロリアス・バスターズ] ブログ村キーワード  クエンティン・タランティーノ久々の監督作品。「イングロリアス・バスターズ」(東宝東和)。今回は、ブラッド・ピットと初タッグ!ワルそうなブラピが、ナチス相手に大暴れしております。  ナチス占領下のフランス。そこには、ナチスから恐れられた連合国軍の特殊部隊が存在した。ドイツ兵を待ち伏せ、殺害し、頭の皮を剥ぐ。アルド中尉(ブラッド・ピット)率いるこの部隊は、“バスターズ”と呼ばれ、フランス駐留のドイツ軍兵士、ナチス中枢部、更には総統・ヒトラー...... more
Commented by 長谷川@江戸川 at 2009-11-26 21:43 x
おひさしぶりです。ナチの蛮行っていうと今年は「セントアンナの奇跡」があったけど、同じような設定なのに、映画のジャンルがぜんぜん違うのが面白いぞな。
Commented by rivarisaia at 2009-11-26 22:51
お久しぶりでございます。「セントアンナ」って「サンタアナ」じゃないんだーと思ったんでした。
本作はなんかむしろ...ナチこてんぱんでしたね。さすがタランティーノ。
Commented by micchii at 2009-11-28 22:48 x
イーライ・ロス、嬉々迫ってましたね~(笑)
ブラピはどうでもいいくらい、とにかくランダ大佐が凄過ぎました。
あそこでミルクを注文するとは、久々に映画観ていてゾクゾクしました。
Commented by rivarisaia at 2009-12-01 00:01
>micchiiさん、

タランティーノ「お前、アイツを殺っちゃっていいぜ!」
イーライ「マジっすか、兄貴!?」

という会話が交わされたのではないかと想像。うるわしきかな、友愛、ですね! ランダ大佐はもうステキすぎます。あのミルクは、ワザとなの? 気づいてたの? それとも偶然〜?
Commented by ゆずきり at 2009-12-06 11:39 x
私も見てきました!
ミルクは、きっと、思わず「ミルク」って言ってみたくなって、言ってみたあげく自分のうっすらした予測が確信にかわっていった・・・って感じじゃないでしょうか>ランダ少佐。

言葉によるかけひきがほんとうにスリリングでしたね。
今回とても言葉の力が大きかったのでは。
ブラピはどこ訛りなのかなーと思ったら南部訛りだったんですね。
でも、私、よくわかんないんですが、上手に訛ってました?
実はそうでもなかったりしません?
まあ、そうだったとしても、彼、とても良かったですね。
でも主役はたしかにランダ少佐だったと思います。
Commented by rivarisaia at 2009-12-07 00:12
>ゆずきりさん、

やっぱり大佐は、ミルク頼んでみたらうっすらした予測が確信に、という感じなのでしょうか。本心を言ってくれないから怖いわー。

ブラピはえらく訛ってたけど、テキサスとはちょっと違う〜と思っていたところ、テネシー出身って言ってましたよね(確か)。テネシー訛りも場所によって違うはずので、上手かどうかはテネシー出身者に聞かないとわかんない〜。

ランダ大佐のイタリア語はめちゃうまい!と感心しました。
そして私ももっとイタリア語がんばろうと反省....。



by rivarisaia | 2009-11-24 23:18 | 映画/洋画 | Trackback(3) | Comments(6)