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幕末太陽傳

正月のTV番組なんですけどね、パアッとした時代劇の映画でも放映したらいいのにねえ。たとえば、幕末の品川宿、旅籠の相模屋を舞台に、落語の居残り佐平次や品川心中などのエピソードがあっちこっちに入ってきて、さらに高杉晋作や井上馨などの志士も活躍する時代喜劇とかさ。

もう何の映画かおわかりですよね、エネルギッシュで不安定な幕末の江戸を風のようにかけぬける物語。
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幕末太陽傳』監督:川島雄三

もうね、私は本当にこの映画大好きで、太陽みたいな映画という位置づけ。ときどき雲がかかって日差しが陰るんですけどね、また雲間からパーッと光が射してくる感じがしますよ(ラストは朝のシーンだけど、夕暮れっぽくもある)。

どうでもいい場面がいっこもないというか、どの場面も好きだし、役者も全員すばらしい。若かりし日の岡田真澄の美形っぷりにもびっくりだ(そして陰間茶屋に売られそうになるところ…笑)。

幕末の江戸といえば(品川宿は厳密にいえば江戸じゃないけど)、私のひいひいおばあちゃんもチャキチャキしていたころで、こんな感じで走り回ってたのかなーと想像しました。彼女の逸話を聞く限りでは本作の山岡久乃(相模屋の女将役)っぽかった気もするんですが。

羽織をひらりとはおる様がとても粋な居残り佐平次(フランキー堺)が、独りになったときにふと厳しい表情になるのが印象的。佐平次も映画全体も底抜けに元気で明るいけど、ときおりふっと死の影がちらつく。生きるというのはそういうことなんですが、さっと気分を切り替えて、けっ!地獄も極楽もあるもんか!と我が道を突っ走っていくのがよろしいですよね。

ちょっと寂寥感に包まれるラストは、駆けていく佐平次の後ろ姿に、こちら側がとり残されちゃった気がするからというのも理由のひとつかもしれません。あえて死を連想するからとは書きたくありません。

なぜなら、ふつうに考えると、高杉晋作は明治になる前に死んじゃうし、若旦那とかけおちしたおひさは相当苦労するだろうし、佐平次はヘボン先生とアメリカに渡る前に労咳で死んじゃうのかもしれませんが、私のなかでは、高杉晋作はまあ仕方ないにしても、若旦那とおひさは幸せに元気に働いいて、佐平次はアメリカに渡ったに違いないということになっているからです。

なんて楽天的な、と言われそうだけど、こればかりは絶対にそういう気がするのです。川島監督が当初考えていた幻のラストも観たかったな。
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Commented by ゆずきり at 2010-01-07 20:54 x
ずいぶん前に見たので詳細はおぼえてみてないのですが、たしかに最後は、ちょっとさびしい感じで終わったような。
こういう時代劇もあるんだなーと思いました。
そして、テレビのバラエティとかコマーシャルでしか知らなかった南田洋子がすばらしい女優だと知りましたし、石原裕次郎がカッコイイという意味がやっとわかった映画でもありました。
また見てみたいです。
Commented by rivarisaia at 2010-01-09 22:36
そうなの。最後のほうで、方言でしゃべるおじさんにたじたじとなるあたりからガラリと雰囲気が変わって、しかも墓に行きますからねー。

石原裕次郎がカッコイイという意味がわかった、に同感!

裕次郎の当時の現代劇は「カッコイイかなあ」と首をかしげてましたけど、時代劇衣装はよかった。
こんど品川あたりに散歩に行こう、と思いました。
by rivarisaia | 2010-01-06 02:40 | 映画/日本 | Comments(2)