「ほっ」と。キャンペーン

ずっとあなたを愛してる

先日なぜクローデルの話をしたかというと、クローデルの映画を観に行ったからでした。小説家であるクローデルが自ら脚本を書いて監督した本作は、繊細で丁寧につくられたとてもよい作品でした。
b0087556_18403347.jpg

ずっとあなたを愛してる(Il y a longtemps que je t'aime)
監督:フィリップ・クローデル

15年の刑期を終えて出所したジュリエット(クリスティン・スコット・トーマス)は、妹レア(エルザ・ジルベルスタイン)の家に身を寄せる。かたく心を閉ざすジュリエットだったが…


ある罪を犯して心の中にぽっかりと空洞ができてしまったジュリエットと失われた15年間を必死に埋めようとするレアのふたりはもちろん、ジュリエットが面会する警部、レアの同僚のミシェル、痴呆症の母、レアの夫や養女たちなど、登場人物の多くはみな何かしら喪失感を抱いて日々暮らしています。

しかし往々にして人生とはそういうもので、必要以上に励まされたり、慰められたりしても空洞は埋まらないし、自分自身で折り合いをつけていかなくてはならないのよね。また、人と人の間の距離もそう簡単には縮まらず、時間がかかる。そうした当たり前のことを何気ない場面や表情を通じて伝えているのが見事です。

ジュリエットの犯した罪が何だったのかは徐々に明らかになっていき、またそれは途中で薄々予想できるけど、犯罪の真相に驚いて終わる映画ではありません。世の中は善悪で割り切れないこと、「喪失」あるいは「不在」はだれにとっても身近なものであること、同時に、日常生活には必ず幸せなひとときがあり、それが希望につながっていくことを、静かに、美しく描いている映画なのでした。

ところで。

食事をしながら皆でエリック・ロメールについて熱い議論を交わすシーンがありまして、「ああロメール…」と思ったんですけど、フランスのアカデミックな職業の方々は本当にああいう白熱した会話してそう。ちょっと横で聞いてみたい(会話にはたぶん参加できそうにない)。
[PR]
by rivarisaia | 2010-01-28 19:04 | 映画/洋画 | Comments(0)