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しとやかな獣

この映画は本当に凄いよねえとしみじみ思いました。台詞も凄いんだけど、音の使い方もカメラワークや画面の構図も凄い。
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しとやかな獣』監督:川島雄三

思わずぷっと吹き出したはいいけど、そのまま笑顔が凍りついて顔にはりついてしまうこと間違いなしのブラック・コメディ。戦後の高度成長期の日本人の負の部分をあからさまに見せつけられているかのようだ。醜悪で怖い。そして滅法面白い。でも心底おそろしい。

とにかく登場人物全員が悪人であり、悪ければ悪いほどあっけらかんとしているのだった。そんな人々が狭い文化住宅の中で入れかわり立ちかわり、狂乱の1日を過ごすわけで、とにかく逃げ場がない。窓は全開なのに、息苦しい。助けてー!

真っ赤な夕焼けをバックに踊り狂う若者のシルエットに、私は地獄を見ました。

さて。

若尾文子もしたたかだけど、山岡久乃はさらにその上をいっている気がします。ベランダから下を見てすべてを悟り、客間を振り返ったときの山岡久乃の表情に、むしろ彼女がいちばん「しとやかな獣」だったのではないかと思わずにはいられません。

公開時は興行的には大惨敗というのはわかる気もするけど、これを正月映画にもってくる大映ってステキ。誰がなんと言おうが名作だと思います。

川島雄三はやっぱり天才だ…。
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by rivarisaia | 2010-04-11 00:45 | 映画/日本 | Comments(0)