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赤い影

閑散としたヴェネツィア、赤いコート、盲目の霊媒師、死んだ少女、連続殺人事件、袋小路、古い教会、割れるガラス…と謎が謎を呼ぶキーワード満載の映画。迷宮っていう言葉はヴェネツィアにぴったりだ。
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赤い影(Don't Look Now)』監督:ニコラス・ローグ

ダフネ・デュ・モーリアの短編小説『Don't Look Now(今は見るな)』が原作。はるか昔に読んだので内容をほとんど覚えてませんが、タイトルの「Don't Look Now」で始まる小説で、「今は見るなよ、向こうのテーブルに老婦人がいるんだけど…」と夫が妻に言う場面から物語がスタートします。映画版は、考古学者のジョン(ドナルド・サザーランド)が妻とふたりの子どもと休日を過ごしている場面からスタート。

ジョンはヴェネツィアの教会の修復を手がけているのだが、その教会の内部を映したスライドをチェックしていた際、うっかりお酒をこぼしてしまう。こぼれたお酒を拭いたところ、教会の椅子に座っている赤いコートの人物から血のような赤い液体がにじみ出る。


ここで不吉な予感がして家の外へ飛び出したジョンが見たものは、池で溺れている娘の姿でした。なんとか助けようとするも、時すでに遅し。身体を引き上げたときには、娘はすでに死んでいた。そのときジョンの娘が着ていたのは赤いコート。そうか、スライドに映った赤いコートとにじみ出た赤い液体は、娘の死の暗示だったのか…と誰もが思うわけですが、それもあるかもしれないけど、本当に暗示してたものはそうではなかった。

息子を寄宿舎に預け、傷心のままヴェネツィアへ行くジョンと妻。彼らはレストランでふたりの老姉妹と出会う。老姉妹の妹のほうは盲目の霊媒師で、ジョンの妻に「あなたたちのそばに赤いレインコートを着た少女がみえる」と告げる。


このあたりから、不吉な赤い死の影がちらちらとまとわりつきだして、なんともいえない不穏な空気が充満。老姉妹はもちろんのこと、閑散としたシーズンオフのヴェネツィアのホテルも怪しげだし、教会の神父も怪しげ、後で出てくる刑事も怪しげ。折しもヴェネツィアでは連続殺事件まで起きている。老姉妹に感化されて、だんだんおかしくなってくる妻。それともおかしいのがジョンのほうなのか。この先、一体何が起こるのか…。

結末を見ると、スライドが暗示してたことや水路で目撃した"ロンドンにいるはずの妻"が示していたことはこれだったのか…と腑に落ちます。虫の知らせはさんざんあったのに、解釈が間違っていたのか、嗚呼。間違ってしまったのは、何もかもが怪しすぎたせいですね、きっと。ドナルド・サザーランドが考古学者に見えないというのも怪しさ倍増でしたが、それは本筋とは関係ありません。
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Commented by fontanka at 2010-05-27 21:14 x
「今見てはだめ」というタイトルで邦訳されているようですね。
読んでないような気がするので、図書館で短編集予約しました。

デュ・モーリア原作であれば、かなり怖いかと思います。
が、しかしですね。

私の近年の経験から、ヴェネチアが出てくる歴史サスペンスや、映画は、かなり惨敗ものである。という法則をかってにたてておりました。

ですが、きっとこれは例外なんでしょう。
「美少年」という短編・・・・あれもヴェネチアだったかしらん。

追伸:ウルリッヒ三題小咄をかいてます。


Commented by rivarisaia at 2010-05-29 23:54
邦訳出てるんですね!短編集、私も探してみようっと。
原作の内容をほんっとに覚えてないので、映画とどこまで同じなのか謎です。小説のほうを読み直して確認したい!

ヴェネチアが出てくる歴史サスペンスや映画はかなり惨敗もの、というのはわかる気がします。私も何冊もそんな経験があります。舞台設定に物語が負けちゃうんですかねえ。「美少年」ってヴェネツィアでしたっけ(これほど記憶が飛んでるので、全体的にデュ・モーリアは読み直すべきかも)。

ウルちゃん三題小咄、読みました! なんか泣ける…。後ほど感想をそちらに。
Commented by fontanka at 2010-05-30 14:56 x
「美少年」はヴェネチアですね(持っているのでイントロ確認しました)
「今見てはだめ」は、「真夜中すぎでなく 」三笠書房に収録されているはずです。

デュ・モーリアは一時期かなり読んだ(図書館)ですが、疲れるといえば疲れますね。「レベッカ」の原作があんなに怖いとは再読するまで(年取るまで)気が付かなかったです。

ブログのコメントにも書きましたが、「プロトン殺人事件」のお笑いシリーズの構想がありますけど、周囲には自転車好きがいないので、通じないです。
Commented by rivarisaia at 2010-05-30 15:32
ありがとうございます。「真夜中すぎでなく」に収録されてる、と。「レベッカ」の映画版をもう1回観ようとかなり前に録画したんですけど、気合いが入らなくてまだ観てない。鑑賞前に再読してみようかしら。デュ・モーリアといえば『鳥』も再読したら映画版よりも陰鬱で恐かったです。

「プロトン殺人事件」おもしろそう!チームを超えてって箇所が特に。くふふ。

昨日、シモーニに見せ場があったんですけどねー。チマコッピはぎりぎりで別の選手に…。でも楽しそうにゴールしてました、シモーニ。
by rivarisaia | 2010-05-27 16:06 | 映画/洋画 | Comments(4)