「ほっ」と。キャンペーン

陽気なドン・カミロ

政局が不安定でございますねえ。宗教や政治信条は相容れなくても、なんだかんだと相手の邪魔はするものの、根本的なところでは協力したり折り合いつけたり、相手を尊重したりっていうのがよい世界のような気がしてきました。そんな情景が観られるのがこの映画。
b0087556_2235883.jpg

陽気なドン・カミロ(Le Petit Monde De Don Camillo)
監督:ジュリアン・デュヴィヴィエ

風刺の効いたというか社会問題を織り込んだコメディで、大笑いするほどおかしいわけじゃないけど、私はこの映画が大好き。いいよなあ、こういうの。

フランス映画ですが、舞台は北イタリアの小さな町。原作はジョヴァンニーノ・グアレスキによるイタリアの小説です。

町では共産党の町長ペッポーネ(ジーノ・チェルヴィ)と反共産党の司祭ドン・カミロ(フェルナンデル)がいがみ合っている。ふたりはお互いの邪魔をし、何かにつけて喧嘩する。さらに町の人々も、共産派と保守派、金持ちと貧乏人、地主と小作農、敬虔なカトリック教徒と無信心な人たち…といった具合にパッキリ分かれていて、しばしば対立していた。しかし、ペッポーネとドン・カミロのふたりは、喧嘩はしても心の底ではお互いを認めあっていて時には協力しあうし、町の人たちもそれは同じ。

あんたたち、仲がいいのか悪いのか全然わかんないよ。でも、そこがいい! 相手の意見には同意できないけど、人として尊重するっていう姿勢は正しい。政治的にも宗教的にも、どこかダブルスタンダード。それでいいと思う。

b0087556_224656.jpg

何より破天荒な暴力司祭ドン・カミロのキャラクターが最高です。銃は持ち出す、殴りあいもする、机もぶん投げる。で、イエス様やマリア様と会話もする。ドン・カミロがイエスの磔刑像に向かって「あいつむかつくんですよ。あー復讐してやりたい!」などと語りかけるたびに、イエスに「カミロよ、そのような考えは捨てなさい」とたしなめられたりするの。

町のサッカーの試合ではペッポーネが審判を買収していたことを知り、憤るドン・カミロ。しかしそこでイエスの声が。「カミロよ、お前も買収しようとしたではないか」。そう、ドン・カミロの買収金額のほうが安かったのだった…。

いろいろなエピソードが集まって1本の作品になっていて、どれもよいのですが、ラストのエピソードがほろりとくるので、書いちゃいます。

村を離れることになったドン・カミロ。ペッポーネの命令で誰も見送りには来てくれず、ひとり寂しく列車に乗るはめに。ところが、次の駅で保守派の人たちが見送りしようとお土産を持って待っていた! ペッポーネたちに見とがめられないように、みんなで先回りしてたのでした。笑顔になったドン・カミロを乗せた列車がさらにその次の駅につくと、今度はペッポーネたち共産派の町の人々が待っているではないですか! やだなあもう。ぐっと来ちゃうよ。さりげなく「早く帰ってこいよ〜」というようなことも言われちゃうし。泣いちゃうよね。
[PR]
Commented by fontanka at 2010-06-05 00:49 x
楽しそうな映画ですねぇ~
イタリアはそんなところがいいんですよね。

またまた話をぶったぎりますが、「プロトン殺人事件」はそんなイタリアが舞台。
が、しかし、夫から、自転車競技のルールを分かって、かつバカミスOKでないと読む人がいないという根本的は指摘をうけて、動機・トリック・小ネタまで用意してあるのに→発表できない?状態になってますです。
Commented by rivarisaia at 2010-06-07 14:01
社会的なメッセージもあるのに、どこかおおらかなムードが漂っていて、この話いいです。シリーズで何作も出てるけど、日本では2本しか見当たらないんだよなあ。なぜ...。

「プロトン殺人事件」の舞台はイタリアが最適ですよね! イタリアならバカっぽくても許せます!(と完全にバカミス系を期待してる私もどうなのか...)
Commented by fontanka at 2010-06-20 10:02 x
春巻さんは「私のイタリア映画旅行」(スコセッシ監督)はご覧になってます?
もしご覧になってないなら、お薦めいたします。
Commented by rivarisaia at 2010-06-21 19:07
なんと私は『私のイタリア映画旅行』全篇観てないんですよね。なぜか真ん中あたりだけを観た、という...。一度ちゃんと観てみます!
by rivarisaia | 2010-06-04 22:05 | 映画/洋画 | Comments(4)