淑やかな悪夢

毎日暑い日が続いてどうにもやる気が起きません。どうやらすっかり夏らしいので怪奇小説でも。
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淑やかな悪夢』シンシア・アスキス他 著、
倉阪 鬼一郎・南條 竹則・西崎 憲訳 創元推理文庫

英米女性作家による短い恐怖譚12篇。昔の作家がほとんどなので身の毛もよだつホラーというわけではないのですが、私は昔の英米女性作家による時代がかった怪奇小説が好きなのでした。

本書は個人的に好きな話とまあまあだった話が混在しているのですが、一編だけかなり気に入っている短編が収録されています。それは

シャーロット・パーキンス・ギルマンの「黄色い壁紙」。

療養のため夫とともに田舎の屋敷に来た主人公。寝室には嫌な模様の黄色い壁紙がはってある。壁紙はところどころ破れ、下のほうには奇妙なしるしが付いている…


作者本人の実体験を元に書かれたという本作は、後からじわじわくる怖さ。それも精神的にくる嫌な感じの怖さ。主人公の女性の独白のようなこの短編は、彼女が徐々に狂気に蝕まれていくさまが行間からにじみ出てくるようで気味が悪い。

小説を読むとき、私は脳内劇場で映画を観るように情景が浮かぶんですけどね、「黄色い壁紙」のビジュアルのインパクトの気持ち悪さときたら、『リング』の貞子よりも『エクソシスト3』の婆さんよりも気持ち悪いんですよね。

割と短いのでさらっと読んでしまうとなんてことはない話のように感じるかもしれませんけど、私はこの小説の行間が怖い。真っ昼間で太陽が照ってるのに、なぜか怖い、というような、そんな話。

そうそう昔の英米女性作家の怪奇小説といえば、イーディス・ウォートンの『幽霊』(作品社)もおすすめです。こちらも短編集ですが、まんべんなくどれも好き。
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Commented by fontanka at 2010-07-22 19:52 x
女流作家の怪奇譚で「化けてでてやる」(女が出る方)と、対になる(女が驚かされるほう)本があったと思います。
たしかウォートンだったと・・・
Commented by rivarisaia at 2010-07-25 00:12
「化けてでてやる」読んだ記憶がある!読んだ、という記憶しかないが! ウォートンの怪奇譚は雰囲気が好きです。
by rivarisaia | 2010-07-21 01:09 | | Trackback | Comments(2)

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