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ぼくのエリ 200歳の少女

夏に涼しげな北欧の冬を舞台にした映画。そういや、最近読書も北欧づいてる私です。暑いから無意識のうちに涼しげなものを選んでいるのでしょうか。北欧ものは憂いを秘めてて心も寒々してくることが多いけどね! しかし、この映画はハッピーエンドではないかと感じました。

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ぼくのエリ 200歳の少女(Låt den rätte komma in/Let the Right One in)
監督:トーマス・アルフレッドソン

ストックホルム郊外。12歳の少年オスカーが母とふたりで暮らしているアパートの隣の部屋に、父親と少女が引っ越してくる。いじめられっこで友だちのいないオスカーは、エリと名乗るその少女と親しくなるが、その頃町では猟奇的な殺人事件が起こり…


ご承知の通り、吸血鬼の話です。ホラーです。ホラーなんだけど、初恋の話でもあり、静謐で透明感のある詩情に満ちた映画でもあります。

雪の降り積もるスウェーデンの長く厳しい冬という舞台にふさわしく、イジメ、孤独、アル中、離婚、いき場のない鬱屈した気持ち、報われない愛情、殺人といった、陰鬱な気配が全体を覆うなか、ポツンと灯るロウソクの光のように、ひとりぼっちの少年オスカーと吸血鬼という秘密を抱えるエリが純粋な愛を育んでいく。真っ白な雪に飛び散る深紅の血液、オスカーの金髪とエリの黒髪などの対比もきれいなのですが、燃え上がるベッドやプールでの惨劇の場面が美しくて印象的。

ま、エグイといえばエグイんだけどね。ああいう見せ方は綺麗だなあ。「12歳」で成長が止まっているエリの表情が、ほんの一瞬老婆のように変化する描き方もよかった。

ただし、日本公開版で残念なのが、微妙な邦題はさておき、非常に重要な場面で傷(モザイクとも言うが、この場合はスクラッチ状の傷)が入っていることです。あれはナイよなー。あの場面で何が映っていたかによって、物語の解釈が大きく変わってくるというのにですよ! いっそR指定にして見せたらよかったではないか!

原作『モールス』(ヨン・アイヴィデ・リンドクヴィスト著/ハヤカワ文庫)も読んだんですけど、原作は映画とはまた違って、かなり鬱々としていてエグさ倍増でした。おもしろいけど。しかし、これはうまく映画化したよなあ。思い切ってあれやこれやをカットしたのがよかったのね。

原作を読むと、エリが吸血鬼になったいきさつや、エリと「父親」の関係性、傷の入った場面に映っていたであろうもの等がわかるのですが、基本的に原作と映画は別物なので、映画ではあの傷の場面がどう解釈されていたのかは、オリジナルを観ない限り不明です。そういう意味でも、とても残念。

ちなみに本作は『Let Me In』というタイトルでハリウッド・リメイクが決まっていまして、トレイラーを見た限りではまあまあおもしろそうではありますが、冬のスウェーデンという設定から醸し出される静けさはかけらもございませんでした。


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Commented by fontanka at 2011-03-06 17:12 x
たまたまラジオでリメーク版(正確にはアメリカの映画化権を別に買ったといってました)の話をしていて、あれ?これ「エリ」と思い、孤独な二人がモールス信号でやりとり云々と思って、原作を借りて読みました。
映画は両方みてないですが。うーん、エグイ描写に引きました&北欧の人名があーだれがだれだか分からない状態。

本を読んでからネットを検索すると、オスカルとホーガン(でしたっけ?)が同一人物のように思えるというような感想もあり、そうかとはおもいつつも、映画→みる勇気はでませんです。

夫に内容を話したら、基本ラインは「少女マンガ」だよと、いわれました。
しかし、吸血鬼って最近のホラーだと、日光はOKとか進化しているのに、エリが旧式(?)なので大変と思いました。
Commented by rivarisaia at 2011-03-07 23:20
原作は映画(スウェーデン版)よりもかなりエグくて、正直言うと私もちょっと引きました。オスカルとホーカンが同じような運命を辿るのかはちょっと謎で、私は違うんじゃないかな、違うといいな、と思ってます。リメイク版はみてないです。

映画も血まみれといえば血まみれなのですが、本でいちばんエグイと感じた化け物の場面がなかったので、まだよかったです。吸血鬼ものの基本ラインって、どうしても少女マンガっぽくなっちゃう気がする…。アン・ライスもそうだし。

エリはかなり旧式ですよね。招いてくれないと部屋にも入れないですしね! でも日光はOKの進化した吸血鬼って、ちょっとどうなの…という気もしなくはないです。(本未読で、映画も未見だけど、『トワイライト』のシリーズはそういえば日光OKっぽいですね)。
by rivarisaia | 2010-08-02 23:34 | 映画/洋画 | Comments(2)