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瞳の奥の秘密

なぜか予告編がおもしろくなくて損をしているのではないかと心配になる作品というのがあり、これもその1本。しかし、この映画の濃密な2時間を予告編に落とし込むのは難しかっただろうなあと、ちょっと同情しました。
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瞳の奥の秘密(El Secreto de Sus Ojos)』監督:フアン・ホセ・カンパネラ

刑事裁判所を定年退職した中年男ベンハミン。25年前に関わったある事件が忘れられないベンハミンは、その事件を題材に小説を書きはじめる。それは1974年に起きたひとつの殺人事件だった…


「A」の打てないタイプライター。倒れた写真立て。現在と過去が交差しながら、事件の全貌が暴かれていくにつれ、それぞれが心に閉じ込めていた後悔や想いが次第に明らかになっていく。

事件そのものは謎めいているわけではなく、ありきたりの殺人事件と言ってもさしつかえありません。ただ起きた時代が悪かったと言いますか、なにせ70年代の暗黒のアルゼンチンだからね…。実際に、拷問とか罪のなすりつけとか勝手に釈放とか暗殺とか何でもありの、何万人も行方不明者が出た時代ですよ。

さて。

本作は殺人事件の真相を探るミステリーというよりは、どちらかというと主人公の愛の物語のような気がしますが、その点については、主人公の顔があまり好みでない私にとってはどうでもよくて(ええ!?)、それよりなにより、妻を殺された銀行員の夫の人生と、主人公の同僚でアル中のパブロの人生に思いをはせて、いたたまれない気持ちになりました。

特に、パブロ。酒さえ飲まなければおそらくボンクラな主人公よりもデキる男。そして根暗な主人公と違ってユーモアのある男。また、パブロには侠気がある(はず)。さまざまな人々の瞳が多くを物語っている、という本作において、ある決意をしたパブロのまなざしが私にはいちばん印象的でした。

と、ここまで書いて、この映画のどこまでが小説でどこまでが現実だったのかふと不安になってきたのですが、主人公が信用できない語り手で、あれもこれも愛を取り戻すための想像の産物ですべて薮の中ってことはないですよね…。少なくとも写真立ては倒された、ということにしておこう。

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by rivarisaia | 2010-09-22 21:57 | 映画/洋画 | Comments(0)