コロンバイン銃乱射事件の真実

2010年アメリカ探偵作家クラブ賞受賞のノンフィクション。何故いまさらコロンバインなのか、それは私たちは知ったつもりになっているけど、実際のところ何も知らないからだ。

原書が出たときに、この本を読みたいという気持ちになったのは、事件に対する興味よりも、ブックデザインの完成度の高さのせい。デザイナーは、私の好きなブックデザイナーでもあるHenry Sene Yee氏。みてください、この表紙を。

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Columbine』Dave Cullen著、Twelve刊

こちらは邦訳も出ていますが、原書のデザインとのあまりのギャップが非常に残念。まあ翻訳版のデザインはさておき、本書は、被害者と加害者、その家族、メディア、警察、宗教団体など、さまざまな対象を綿密に調べ、事件前、事件当日、事件後のあらゆる事象を多角的にとらえている力作です。

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コロンバイン銃乱射事件の真実』デイヴ・カリン著、 堀江 里美訳 河出書房新社

当時報道されていたような、トレンチコート・マフィアも、音楽やゲームの影響も、ジョックに対するいじめられっこの反抗という構図も、まったく間違っていた。こういう恐ろしい事件が起きると、メディアも視聴者もわかりやすい理由がほしくて、誰もが納得できるものがそんな構図だったのかもしれないけど、実際はそうじゃなかった。

エリック・ハリスとディラン・クレボルドはどうして銃を乱射したのか。
簡単にいえば、エリックはサイコパスであり、ディランはうつ病で自殺願望があったからでした。

サイコパスには、ひとつは「他人に対して非情なまでに無関心」、次に「ひとつめの特徴を隠す驚異的な才能」というふたつの際立った特徴があり、またサイコパスを生む原因ははっきりしていないけれど、子育てや教育というより「生まれつきである可能性が高い」のだそうです。

サイコパスは非常に邪悪だが、人を引きつける魅力でそれを覆い隠してしまうので他の人からは邪悪さは見えない。もちろんサイコパスが皆殺人をおかすわけではないけど、エリックには兆候がありました。ただ、家族は気づいてなかった。唯一気づいていたと思われるのが、エリックの友人の母親ひとり。

そんなエリックに、自己嫌悪と自殺願望にとらわれて自暴自棄になっていたディランが引き寄せられて事件が起きてしまった。ディランの気持ちにも、家族は気づくことができなかった。

被害者の家族がつらいのはもちろんだけど、犯人の家族も一生重荷を背負って生きていかなくてはならないという、また違ったつらさがあって、それもキツイよなあ。銃が簡単に入手できるから起きた事件というよりも、もっと根本に不安定な心の闇が隠れているような気がする。
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by rivarisaia | 2010-10-23 18:05 | | Trackback | Comments(0)

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