Burning Bright:アパラチアの小説

先日『ウィンターズ・ボーン』の感想書いた際に、アパラチアの小説って何読んでるの?と知人から聞かれたので、忘れないうちに書いておきます。何冊かあるんだけど、今日紹介するのはアパラチアの作家として知られている Ron Rash。

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Burning Bright』Ron Rash著、Ecco刊

フランク・オコナー国際短編賞受賞作で、全部で12の物語が収録されてます。どれも比較的短くて、さらりと読めてしまうのですが、どの話も読み終わった後に心に小さいトゲが刺さったような気分になるといいますか、いつまでも物語の印象が消えない。ああ、あの人はあの後どうなったんだろう、と気になってしょうがない。

南北戦争から、大恐慌時代、現代と時代設定はさまざまですが、登場人物の多くがガチ。誰も頼りにせず自分の信念にしたがって突き進む(しかない)人たち、貧しいけれどもアパラチアの自然とともに誇りをもって生きている人たち、予想外のことに巻き込まれて出口を見つけようと葛藤する人たち、孤独な気持ちを抱えて生きている人たち。

1番最初の話『Hard Times』からして、静かだけれど衝撃的。大恐慌時代、自分の鶏小屋から卵がなくなるのは動物か蛇の仕業だろうか、と考える農夫の話ですが、私は読んでいる最中に、卵の殻がパリパリと噛み砕かれる音を聞きました。

そこに暮らす人々が動的なのに対して、周囲の自然は過酷だけどあくまでも静か。この対比が強烈な印象を残すのかもしれません。情景がまざまざと目に浮かぶし、風の音やフクロウの鳴き声、墓を掘り起こす土の音さえも聞こえる。コーマック・マッカーシーは読んでいて暑い空気に乾いた土と血の匂いがするけど、ロンラッシュは冷たい空気に湿った土と枯れた涙の匂いがする。

Ron Rashは長編小説『Serena』が映画化の話が出ていたので、ついでに邦訳出たらいいのになあ。本書は、英語がそんなに難しくないので、原書で読んでみてもいいかも。『Serena』は私はこれから読みます。

●参照:
アパラチア関係のエントリ
ウィンターズ・ボーン
『A Walk in the Woods(ビル・ブライソンの究極のアウトドア体験)』Bill Bryson
『Serena』Ron Rash
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by rivarisaia | 2010-11-10 21:08 | | Trackback | Comments(0)

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