The Whole Story and Other Stories
2010年 11月 26日
前にお知らせしたこれを読まずして年は越せないで賞の候補作についての私の感想は、賞が決定してから書きますね。といっても、全部について書くかどうかわかんないけど、ということで、本日は別の本。
最近気になる作家のひとり、スコットランドのアリ・スミス。この短編集はよかった。
『The Whole Story and Other Stories』Ali Smith著 Anchor刊
2月からスタートして、それぞれの月を背景にしているらしい12の短編ショートストーリーがおさめられた1冊。読むまで気づいてなかったけど、この中の『May』という話は岸本佐知子さん編訳の『変愛小説集』に入っている『五月』だった。『五月』って他のアンソロジーでも目にしたんだよなあ。人気なのね。でも私は本書の中では『五月』はそれほど気に入ってない。
そもそも本書を読もうと思ったのは、Kindle にサンプルを落としてまず目に入った一番最初の『The Universal Story』の書き出しがなんじゃこりゃ?とかなり変テコだったからだ。
墓場の近くに住む男の話かと思いきや、それはすぐに否定されて、墓場のそばに住む女の…いや古本屋に住む女の話になり、1974年のペンギン版『偉大なるギャツビー』、その本にとまる1匹のハエ、そして妹のために『偉大なるギャツビー』を買い集める男、『偉大なるギャツビー』で船をつくる妹…と話がどんどん転んでいくのであった。
帰宅途中に駅で死神に会う話、バグパイプ・バンドに取り憑かれた年配の女性の話、モダンアートにアレルギーのある(と思っている)若い女性の話など、他の話もかなり変テコですが、その変テコさがさらっとしていて、ごく自然なところがいい。ちょっと変だけど、ま、そういうこともあるかもね、という絶妙なバランス。
レオノーラ・キャリントンの『耳ラッパ』のペンギンから出ている英語版では、序文をアリ・スミスが書いていることを知り、激しく納得しました。そんなアリ・スミスの邦訳は『ホテルワールド』しか出てないのが残念。英語では新しい短編もあるので、そちらも読んでみます。
最近気になる作家のひとり、スコットランドのアリ・スミス。この短編集はよかった。
『The Whole Story and Other Stories』Ali Smith著 Anchor刊
2月からスタートして、それぞれの月を背景にしているらしい12の短編ショートストーリーがおさめられた1冊。読むまで気づいてなかったけど、この中の『May』という話は岸本佐知子さん編訳の『変愛小説集』に入っている『五月』だった。『五月』って他のアンソロジーでも目にしたんだよなあ。人気なのね。でも私は本書の中では『五月』はそれほど気に入ってない。
そもそも本書を読もうと思ったのは、Kindle にサンプルを落としてまず目に入った一番最初の『The Universal Story』の書き出しがなんじゃこりゃ?とかなり変テコだったからだ。
墓場の近くに住む男の話かと思いきや、それはすぐに否定されて、墓場のそばに住む女の…いや古本屋に住む女の話になり、1974年のペンギン版『偉大なるギャツビー』、その本にとまる1匹のハエ、そして妹のために『偉大なるギャツビー』を買い集める男、『偉大なるギャツビー』で船をつくる妹…と話がどんどん転んでいくのであった。
帰宅途中に駅で死神に会う話、バグパイプ・バンドに取り憑かれた年配の女性の話、モダンアートにアレルギーのある(と思っている)若い女性の話など、他の話もかなり変テコですが、その変テコさがさらっとしていて、ごく自然なところがいい。ちょっと変だけど、ま、そういうこともあるかもね、という絶妙なバランス。
レオノーラ・キャリントンの『耳ラッパ』のペンギンから出ている英語版では、序文をアリ・スミスが書いていることを知り、激しく納得しました。そんなアリ・スミスの邦訳は『ホテルワールド』しか出てないのが残念。英語では新しい短編もあるので、そちらも読んでみます。
by rivarisaia
| 2010-11-26 02:26
| 本
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