これよま賞受賞作以外まとめて紹介:文芸&児童書

渡辺由佳里さん主催「洋書ファンクラブ」の「これを読まずして年は越せないで賞」、ロングリスト〜ショートリストに入ったけど受賞にいたらなかった本を一気にまとめて紹介第2弾。

昨日のノンフィクション部門に続き、本日は文芸と児童書です。

●文芸

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Room』Emma Donoghue著 Picador刊 →(邦題:部屋)

この本については、コチラで感想を書いてます。
この本は、語り手の英語がやや特徴的なために邦訳がちょっと難しそうだし、無理に日本語にすると微妙に印象変わっちゃうかもなーという気がします。しかし特徴があるとはいえ、英語自体は難しくないし、それほど厚い本ではないので、英語で読んでみるのもおすすめ。


The Lake Shore Limited』Sue Miller著、Knopf刊

9.11で弟を亡くした女性、その弟の恋人で劇作家の女性というふたりの女性と、彼女たちとつながりのあるふたりの男性という、あわせて4人の人物の視点で描かれた喪失と再生の物語。
正直ショートリストに残ったのはちょっと意外という、まあずば抜けてすごい内容でもない気がしますが、どこまでも静かで、それぞれの心のゆれ動きをじっくりじっくり追っていくような話です。ラストシーンがまるで詩のようで印象的。

The Finkler Question』Howard Jacobson著、Bloomsbury刊

ええと、今年のブッカー賞です。現代のロンドンでユダヤ人であるということはどういうことかという話を、延々と延々と延々と述べているという印象で、ごめんなさい、出だしはミステリアスでおもしろいんだけど、その後の進展のなさと、深く踏み込まずに上辺だけなぞってる感にうんざりした私は途中で脱落しまして、まだ読了してません。
むしろこれは現代のロンドンに暮らすユダヤ人の方の感想を聞きたい...。


●児童書

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Charles and Emma』Deborah Heiligman著、Henry Holt and Co.刊

チャールズ・ダーウィンと奥さんのエマの話。ダーウィンの人となりについて全然知らなかったので、非常に興味深く読みました。ダーウィンは結婚を決めるときの葛藤からしておかしい。そして、チャールズと違って奥さんのエマはたいそう信仰心の厚い人。だからチャールズは『種の起源』を書く際に、奥さんの意見を聞いて、すごく悩んでるんですよね。ダーウィンとエマの話といえば、実生活でも夫婦のポール・ベタニーとジェニファー・コネリーの映画『Creation』は日本で公開しないのかな。DVDスルーにもならないのかしら。みたいのに。

The Evolution of Calpurnia Tate』Jacqueline Kelly著、Henry Holt and Co.刊
→(邦題:ダーウィンと出会った夏)

大草原の小さな家シリーズみたいな印象の本ですが、こちらは19世紀末のテキサス州で生物の不思議に目覚める11歳の女の子の話。ちなみに主人公は帳面派です。赤い手帳にさまざまな観察記録をつけて、アマチュア自然観察家のおじいちゃんに報告したりするの。主人公の家は裕福な家庭で、兄弟もたくさんいるんですが、みんな個性的で楽しい。女性は家庭に入るものという時代に、主人公は科学者の道を進むことができるのか、乞うご期待という形で終わるので、シリーズ化するんじゃないかと勝手に想像中。


Marcelo in the Real World』Francisco X. Stork著、Scholastic Paperbacks刊 →(邦題:マルセロ・イン・ザ・リアルワールド)

アスペルガー症候群の17歳のマルセロ君が、夏休みにお父さんの弁護士事務所でバイトをすることになり、これまでの居心地のよかった世界から一歩ふみだして、大人の現実社会でさまざまな試練にあって成長していく、という物語ですが、マルセロ君はどうなっちゃうんだろう、大丈夫か!とハラハラしっぱなし。語り手であるマルセロ君のキャラクターがとてもいいので、気がつくと全力でマルセロ君を応援しながら読んでました。児童書ですが読者の年齢層は高め。大人にも読んでほしい1冊。

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by rivarisaia | 2011-01-11 18:57 | | Trackback | Comments(0)

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