これよま賞まとめて紹介、2010年度受賞作

渡辺由佳里さん主催「洋書ファンクラブ」の「これを読まずして年は越せないで賞」一気にまとめて紹介、ロングリスト〜ショートリストのノンフィクション部門文芸部門、児童書部門につづき、昨年度の受賞作です。

●ノンフィクション部門、そして総合大賞
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Just Kids』Patti Smith著、Ecco刊 →(邦題:ジャスト・キッズ)

2010年度全米図書賞ノンフィクション部門受賞作。パンクの女王パティ・スミスの自伝というより回想録。あのパティ・スミスが全米図書賞受賞ってだけでもかっこいい!

パティの昔の恋人で、別れてしまった後もよき友人でありつづけた写真家ロバート・メイプルソープとの思い出を綴っています。パティ・スミスを知らなくても、ロバート・メイプルソープを知らなくても、60年代から70年代のニューヨークにくらしていた、芸術家志望のふたりの若者の物語として読んでもすごくおもしろいし、時に切ない。

ふたりの出会いからして、かなりドラマチックです。パティは書店員をやっているけど、とにかく最初の頃は貧乏のどん底なんだけど、ふたりがチェルシー・ホテルに引っ越してから、一気にまわりの世界が変わる。

それにしても私はロバート・メイプルソープがこんなに繊細で純粋でガラスのような人だったとは思いませんでした(何となく作品から想像はしてたけど)。私が好きなのは、ジョセフ・コーネルのような箱をつくるエピソード。メイプルソープは箱派でもあった! その箱を見てみたいなあ。

本書はおそらく邦訳も出るのではないかと思います。


●フィクション部門

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Freedom』Jonathan Franzen著、Farrar, Straus and Giroux刊 →(邦題:フリーダム)

アメリカの中流家庭のあれこれを書かせたら右に出るものはいない、と言われているフランゼンの9年ぶりの新作。576ページもあるんですよね、相変わらず厚いな。はっはっは。じつは私は前作の『コレクションズ』は、途中でだんだん鬱々としてきてダメだったんですけど、本作はおもしろかった。それは自分が年を取ったせいなのか、フランゼンがさらに円熟したせいなのかは不明です。

本作は中流階級のパティとウォルター夫婦、彼らの子どもたち、ウォルターの友人リチャードを中心に、そもそも人にとっての自由とはなにか、あるいは世界にとっての自由とは何か、はたまた猫にとっての自由とは何か、そもそも自由は人々の生活に、愛情に、自然に、経済に、どう影響するのか、アメリカが大事にしている「フリーダム」って何なのでしょうね?と問いかける壮大な小説です。ときに人は、大切なものを手に入れるために、糞みたいなものをかきわけなくてはならなかったりもする。

本の表紙に描かれた青い鳥も、ある意味「自由」の象徴だったりするわけですが、終わり方も象徴的だったなあ。フランゼン恐るべし。

●児童書部門
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When You Reach Me』Rebecca Stead著、Wendy Lamb Books刊
(→邦題:きみに出会うとき)

これはすでにコチラに感想を書きました。

SFだけど、私は子どもの日常の描き方がとても気に入っていて、またいまさらながらミランダのお母さんもなかなかいい味だしてることに気づきました。これ邦訳出ないのかな。(→出ました! 邦題は上)

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by rivarisaia | 2011-01-13 13:17 | | Trackback | Comments(0)

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