あまりにも騒がしい孤独

最近、げに世の中はシュールなり、と思うことしばしば。なんだかよくわからない理不尽なことが現代社会ではけっこう起きてますよねえ。シュールな時代だ。

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あまりにも騒がしい孤独』ボフミル・フラバル著、石川達夫訳、松籟社

松籟社の「東欧の想像力シリーズ」2巻。このシリーズいいですね。続いてほしい!

プラハで故紙処理係の仕事をしているハニチャは、35年間、運ばれてくる紙の山をつぶして、キューブ状にして、再生紙工場へ送り出す、という作業をしている。そんなハニチャの生きがいは、紙の山の中から美しい本を探し出し、そのテキストを読むことだった…


故紙の山を潰している僕は、仕事の合間にさまざまな美しいテキストを読んでいるので「心ならずも教養が身についてしまって」いる。時折、救出した本を家に持ち帰っているので、自宅には山のような本に囲まれている。延々と続く単純作業にも、ささやかな喜びを見いだしており、故紙のキューブを美しい本の表紙や絵画のページで飾ったり、老子やイエスの幻覚が現れたり、昔の出来事を思い出したり、倉庫を走りまわるネズミに思いを馳せたり、孤独な作業場はけっこう騒がしいのだった。

そんなハニチャにはささやかな引退後の夢があったのだが…。カフカ的不条理が日常であったチェコ。醜悪な現実から陽気な羽をつけて舞い上がる幻想の世界がとてもとても印象的でした。

さらに、本書は解説が非常に充実しています。フラバルも厳しい検閲にあい、多くの著作が地下出版や外国の亡命出版社から刊行されていたのね。『英国王給仕人に乾杯!』の原作もフラバルです(邦訳出てます)。
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by rivarisaia | 2011-03-02 23:21 | | Trackback | Comments(0)

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