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イリュージョニスト(シルヴァン・ショメ)

けっこう前にみたんですけどね、いやあ私はショメの描く街並がとにかく好きなんだなあと深く実感。それは前回の『ベルヴィル・ランデブー』のときもそう感じて、いまだにときどきベルヴィルの街並をMacの壁紙にするくらいだ。線と色使いが好み。

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イリュージョニスト(L'Illusionniste)』監督:シルヴァン・ショメ

無口な老手品師のタチシェフおじさんは、自分を魔法使いだと思って慕ってくる少女アリスの中に別れた娘の面影を見いだしてあれやこれやと世話をやくも、やがて娘は巣立っていく日がやってくるという話であると同時に、これから花盛りの時代を迎えるであろう若者世代と違って、新しい時代の波にうまく乗れずに取り残されていく手品師とその仲間の大道芸人の悲哀がなんともメランコリーな物語でありました。

この枯れ具合はどうなのよ、と心の中にひゅうううと乾いた風が吹く感じがね、とてつもなくメランコリック。すいません、わたくし語彙が少なくてですね、観終わった後に「メランコリー」って言葉しか浮かばなかったんですよね。だって、古道具屋の店先に並んだ腹話術人形や手品の道具が哀愁を誘う…(涙)。

いやあ切ない話ですよねえ。

しかし、しばらく時間をおいて振り返ってみると、タチシェフおじさんではなく、アリスに着目したときに、ふつふつと疑念も湧いてきました。大体あの少女は何を考えているのだろうか。純粋で無邪気な少女だけど、いくらスコットランドの片田舎の出とはいえ、あまりに世間知らずすぎやしないか。かつて私は『イヴの総て』で「悪気がないのが一番たちが悪い」と書きましたが、アリスもそうかもしれませんよ。

あれ欲しい、これ欲しいって買ってもらってさ、魔法で出してもらったと思うのはいいけど、タチシェフおじさんはそのために馴れないバイトをしてたんだぞ! もうちょっと感謝の気持ちはないのか。掃除をしたり、シチューをつくったりもしたけどね、シチューは人に勧められてつくった感じだったよ。タチシェフおじさんは娘の面影をみていたのだろうが、アリスはお父さんみたい、と思っていたのだろうか。そしてあんな世間知らずで、スコットランド・ゲール語しか話せないらしいアリスはあの若者とうまくいくのだろうか。騙されないだろうか、春巻お姉さんは心配です!

メランコリックで、アリスの純粋っぷりにハテ?と思いますが、もう本当にすばらしい絵なので、じっくりご覧くださいませ。最後のクレジットで、ペンとインクって書いてあったんですよね。水彩じゃなくてインクなのか。すごいなあ、あの色の使い方。
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Commented by fontanka at 2011-04-29 23:33 x
この映画はみていませんが、話はきいていますが・・・
春巻さんのコメントをみていると

「オペラ座の怪人」てか、渡辺○一かい!って気がしますが・・・
Commented by rivarisaia at 2011-05-01 01:15
す、すまん。私の書き方が悪かった...。そんなことはないのよー。渡辺○一なんてことはないのー。ジャック・タチへの愛があふれているのよー。

さておき、とにかく絵がすごく綺麗なので、私はそっちに集中してしまったというね…。
by rivarisaia | 2011-04-28 02:40 | 映画/洋画 | Comments(2)