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ウンベルトD

社会的弱者が主役の映画ってとかく世知辛いものが多いんですけど、その弱者が老人だったりしますと、世知辛さに枯れた感じが加わって沈痛さ倍増。さらに、そこに犬猫などの動物が加わると胸がしめつけられる度合いがマックスに。

しかし、愛犬フライクがすばらしいんだな。動物は飼い主に希望を与える存在なのであるよ。

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ウンベルトD(Umberto D)』監督:ヴィットリオ・デ・シーカ

ローマで愛犬フライクとともにひとり暮らしをしている元公務員の年金生活者ウンベルト。家賃の値上がりにともない、滞納分を即刻払わないと長年住んでいるアパートを追い出されてしまう。なんとか部屋代を工面しようとするが、親身に相談に乗ってくれる人もなく…


あらすじ途中まで書いてて、暗い気持ちになってきました…。イタリア人の知人にこの映画を説明しようとした時もだんだん暗い気持ちになり、イタリア人に「暗い気持ちになるのは当たり前だよ。だってデ・シーカだろ!? ネオリアリスモだろ!? 明るい映画のわけないじゃんか!わはは」と笑われたんだった。

Amazon の DVD の内容紹介もある意味すごいです。

若さ・家族・友人・健康・金・住居のすべてを奪われ、社会の底辺に生きるひとり老人と彼の愛犬が辿る苛酷な運命と共に、酷薄な世界で生きる貧しい人々の交流、孤独な老人が飼い犬に寄せる心からの愛情が感動的に描かれる名篇。


すべてを奪われ…(遠い目)。まあ確かにそういう話なんですが、フライクの愛らしさと、ウンベルトがフライクに注ぐ愛情がどんよりと灰色の画面(って白黒映画です)の中で、かけがえのない宝石のようにキラリと輝いています。

勝手にフライクを捨てられてしまい、必死になって保健所に探しにいくウンベルト老人の姿に、いなくなった愛猫ノラを探す内田百閒の姿を重ねたり、脱走したうちの猫を探しまわったときの自分の心境を思い出したりして、だから子どもと動物は反則なんだよ、よよよ…と目頭が熱くなったのでした。

金策に困ったウンベルト老人は物乞いをしようと画策するけど、どうしてもプライドが邪魔をする。そんなウンベルトの心境を知ってか知らずか、芸をしてお金をもらおうとするフライク。フライクを手放そうと決意して、犬を預かっている人のもとへ連れていくものの、どうもちゃんと世話してなさそうな様子に「こんな場所に置いていけない!」と考え直すウンベルト。ううう。

最終的にウンベルトは、汽車に飛び込んでフライクと一緒に死のうとする。それを思いとどまらせたのはキャンキャンというフライクの鳴き声なのだった。

ひとりと1匹の幸せそうなひとときで映画は終わります。その後、ウンベルトとフライクがどうなるのかはわからないけど、彼らに引き続きささやかな幸せが訪れますように。いや、きっと大丈夫だ。なぜなら、世の中は辛いことばかりじゃないからです。
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Commented by fontanka at 2011-05-25 20:28 x
ああ、ウンベルトD!!!
この映画はみてはいないんですが、えーと映画監督の「イタリア映画旅行」だったか、内容の紹介をみて、
もう涙涙→みたいけど、きっとかなしくなりそうで
の映画です。
あ、私は犬派です。
この映画で思い出すこと。
数年前、ベルギーで子供の時に飼っていた犬(2才くらいでしんでしまいました)にそっくりな犬と目があい→ばちばち!!!
ああ、ここで生きてたんだねと私思う。やっと会えたね。

その犬(飼い主と一緒でしたが)不思議なことに、私の目をみながらよってきました。
そんな(どう考えても偶然)出来事でさえ、その時はうるうるしちゃったんですから、この映画は号泣しちゃうと思います。
(本当にあの時は、生まれ変わりを信じました。)

話はまったく違いますが、職場にロードレースファンをみつけてジロデイタリアの話をしようとしたら、ジロはみていないそうでした。。。
Commented by rivarisaia at 2011-05-27 19:31
ウンベルト爺さんはどうやら本職は大学教授だそうで、演技のぎこちなさがこれまた不器用な老人という感じなのですが、フライクの演技(演技じゃなくて素?)がたまりません(涙)

途中まで辛いのですが、ラストは、たとえその先が不明であったとしても、フライクと爺さんが幸せな感じでよかったです。犬派なら機会があったらぜひご覧くださいませ!

生まれ変わりはあるかもしれませんね。わからないけど、あると思うほうが希望があって楽しいな。そしてロードレースファン、ツールはみてるのにジロはスルーな人多いよね...。ジロのほうが好きなんだけどなあ。

by rivarisaia | 2011-05-25 19:28 | 映画/洋画 | Comments(2)