新版ヒグマ 北海道の自然

数カ月前、図書館に本を返しに行ったときのこと。たまに不要になった在庫を放出する「どうぞご自由にお持ちください」コーナーが出現するんですが、その日もそんなリサイクル本コーナーができてまして、ふと見るとこの本が!

私としては、これは持って帰らざるをえない。

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新版ヒグマ 北海道の自然』門崎充昭、犬飼哲夫著、北海道新聞社

本書は「進化と分布」「身体と生態」「アイヌ民族とヒグマ」の大きく3つの章に分かれています。

クマ類の起源、世界のクマ分布、クマの学名の由来に語源、身体のしくみや繁殖、食性といったクマ基本情報を網羅、さらにヒグマが起こした事件のまとめのほか、マタギやイオマンテ(熊送り)などのアイヌ文化も細かく説明してくれる。巻末にはヒグマが採食している植物一覧表、市町村別捕獲頭数や年度別被害数の図表付き。

いたれりつくせりなんですよ。ヒグマの肉の味やクマ料理についての余談があったり、民芸品の木彫のクマの元祖は実はスイスという小ネタがあったり(スイスから木彫グマを持ち帰った徳川農場主が制作を奨励したのが北海道の木彫グマの始め)、さらにはクマに付く寄生虫の種類、クマの体臭、クマ供養、推奨文献…と、ヒグマについて知りたきゃ、これ1冊あればじゅうぶんお腹いっぱい。

ヒグマとの共存についても記しており、保護の現状や被害を防止しながら共存するための具体策などもケースバイケースで提案しています。

実際に人を害するヒグマの数は生息数と発生頻度からみると少ないと書いてあって、ちょっと安心するのもつかのま、棲場に入るときは鉈の携帯は絶対に必要、鉈があって抵抗してれば助かったケースも非常に多いと述べ、

ヒグマとの共存には、あいまいさや甘えは許されない。


と締めくくられておりました。はい、肝に銘じておきます。

読み物としても、かなりおもしろいです。熊・羆という字の語源とかアイヌの矢毒の話なんて、興味深い。たまに慄然とする写真があるけど、白黒だし平気。

こんな充実した本を図書館は放出していいのだろうか。いつまでも蔵書にしておくべき1冊ではないのか、それとも複数ある本なのかしら、などと心配してしまったほどの良書です。
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Commented by きたきつね at 2011-07-08 22:23 x
おお、これはよさげな本ですね。
北海道だと、どこかで必ず読めると思うので探してみます。北海道新聞社だし。北海道大学出版会でもけっこうヒグマ関係の本を出しています。
熊の木彫りはスイスが発祥…そう、そうなんですよ。地元民ですが先日知ってびっくりでした。
Commented by rivarisaia at 2011-07-09 14:54
これはかなりよい本です。北海道大学出版会の本もよさそうですね。ヒグマの本は北海道制作に限ります。

「熊・羆」という漢字は中国から来ているわけだけど、日本語の「ヒグマ」という発音は、どこからきたのかよくわかってないという話もおもしろかったです。

熊の木彫は私もこの本で知ってびっくりでした。地元発祥だと思ってた!
by rivarisaia | 2011-07-07 00:56 | | Trackback | Comments(2)

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