刑事ヴァランダー・シリーズ

以前、スウェーデンといえばマルティン・ベックシリーズですよ!と言いましたが、BBCのドラマのDVDも出たことだし、そろそろ刑事ヴァランダー・シリーズもおすすめしておきたい。ええとドラマはまだみてないんですけど、そのうちみます。

ということで小説版。著者はヘニング・マンケルです。

ヴァランダー刑事は、スウェーデンのイースタという小さい町の警察署に勤務しています。マルティン・ベックのように、警察署を舞台に事件を地道に捜査していく過程が本当におもしろいし、脇役もなかなかよろしい。

イースタを検索してみると、なかなか可愛らしい町。いつか行ってみたいよ。

今年の夏に7作目の邦訳が出まして、その解説が愉快です。ミステリ研究家の小山正さんが書いておられるのですが、このシリーズは大変おもしろいから皆におすすめしたいと記した上で、「このおもしろさを満喫するためには、乗り越えなければならない壁がある」という。それはシリーズ初期の3作。

がんばって、この三作を読破しさえすれば、あとはパラダイスだからね


と小山さんはアドバイスすることにしているらしい。

わかる! それ、ちょっとわかる!と激しく同意した私なのだった。

最初の3作も今にして思えばおもしろいんですけど、初めて読んだときの私の感想は「とにかく暗い。暗すぎる。この暗さがスウェーデンなのだろうか」であり、鬱々と悩むヴァランダーの暗さに辟易したのも事実(しかし、だんだんその哀愁っぷりにじわじわくるようになる)。

ところが4作目の『笑う男』でヴァランダーは何か吹っ切れたようで、それ以降は相変わらず悩んではいるけど、ただ暗いだけの男ではないのだよ、諸君、とますます味が出てくるわけですよ。

そこで、シリーズ未読の方は思い切って4作目の『笑う男』から読んでもいいかもしれません。それでも話についていけるし、ヴァランダーの世界にどっぷり浸れること間違いなしなので、そうなったら最初の3作を追っかけで読むというのもアリかも。4作目以降は順番に読むことをおすすめします。

ちなみに、このシリーズで私が猛烈に好きな脇役は、鑑識のスヴェン・ニーベリさん。

仕事の腕前は確かで、信頼のおける鑑識官なんですが、誰も電話をかけたがらないほど、いつも不機嫌。ヴァランダーのことは非常に信頼してるし、緊急事態にはたとえ真夜中に電話してもすぐに現場にかけつけてくれる。

7作目ではほとんどレストランに行かない男(少なくともイースタでは一度も行ったことがない)ということが判明しました。

ニーベリはもうじき定年退職らしいのですが(もっと若いかと思ってた!)、今後の活躍も楽しみです。訳者あとがきによると、90年代に書かれたヴァランダー・シリーズはあと2作。そのあと、もう2作ヴァランダーものがあるらしい。邦訳が楽しみなシリーズのひとつです。これから読む人は楽しみがあっていいなあ!

●これまでのタイトルリスト

『殺人者の顔』
『リガの犬たち』
『白い雌ライオン』
『笑う男』
『目くらましの道』
『五番目の女』
『背後の足音』

ヘニング・マンケル著、柳澤由実子訳、創元推理文庫刊
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Commented by fontanka at 2011-09-27 21:55 x
クルト・ヴァランダー→一応、ドラマは見た(はず)
ちょっと気が滅入る→一応原作を読もうとして、大挫折。
スウェーデン版のドラマで、ヴァランダーがきくレコードが「Who is Silvia」だった気がしますが(学校で歌ったのでおぼえています)十字架の森(荒野?)とか印象的なものはあるのですが、ドラマとしては、記憶がないぞ?です。
BBC版は、(夫に言わせるとヴァランダーかっこよすぎないか?)3作みました。
「5番目の女」「背後の足音」は比較的ちゃんと読みましたが、うまいけど、重い・・・・なので、読むけど・・・な私とクルト君です。
Commented by rivarisaia at 2011-09-29 23:16
スウェーデン版のドラマは暗そう〜!
原作は…重いですよね、でもその重さが北欧ならではという気がする今日この頃です。

ここ最近で読んだエリカ&パトリック事件簿とか、その他の北欧ミステリもろもろがひたすら暗くて陰惨で、それを思うとマルティン・ベックやヴァランダーは重いけどうまいな、と改めて実感しました。

DVDは、BBC版の1枚をまず借りてみたので近日中にみる予定です。ケネス・ブラナーってどうなの?という気もするけど(みてないうちから、かっこよすぎる、に同感)また感想書きますね。

ニーベリをどんな役者が演じているのかどきどきしますよ...。
Commented by chiaki at 2012-01-02 13:19 x
はじめまして。いつも楽しくブログ拝見してます。
マンケルは20代の頃読んだことあったんですが、まさに小山正さんのおっしゃる通り、2作目あたりで挫折してました。春巻さんの記事を読んで年末年始「笑う男」「目くらましの道」読み始めたらもう、とまらないです!自分が歳をとってヴァランダーの憂鬱が身に染みるようになってきたのかもしれません。それにしてもすぐ気が塞いだり、涙が出そうになったりするヴァランダーは大丈夫なんでしょうか。明日、「五番目の女」以降も買いに走ります。BBC版も見たいです。ニーべリさん、いいですよね!私もお気に入りです。
Commented by rivarisaia at 2012-01-04 00:54
>chiakiさん
こんにちは! いつも楽しく見てくださってるなんて嬉しいです。それなのに最近、更新がのんびりしていてすみません。今年はもう少しがんばります…。

年末年始にヴァランダー三昧だったようで、おすすめしてよかったです。白状しますと、私も2作目からは当初あまりの暗さにほぼ惰性読みでした。読むのやめようかとも思ったほどに。が、『笑う男』からどうしたことか急におもしろくなってきました。『背後の足音』なんて、びっくりな展開なのでお楽しみに〜(ヴァランダー、けっこうガタがきてやばい気が…)。

BBC版は、原作読者的には消化不良なんですけど、私1作目しかみてないからなあ。

そしてここにもニーベリさんにファンが誕生していて、それが一番嬉しかったりしますよ、ふふふ。
Commented by chiaki at 2012-01-09 19:05 x
返信ありがとうございます。まだ『背後の足音』途中ですが、楽しみにちびちび読もうと思います。

他にも春巻きさんの記事で興味を惹かれて読んだ本とか映画とか結構あります。最近だとケラーシリーズ(ブロックは好きだったのですが、このシリーズ知りませんでした)、「ミステリウム」、あと頑張って読んだ「imperfectionists」も最高でした。
マルティン・ベックも俄然読んでみたくなりました!
 
Commented by rivarisaia at 2012-01-11 14:53
>chiakiさん、

『imperfectionists』読まれたんですね! おもしろいのに邦訳出ないのかな〜。マルティン・ベックはおすすめです。あれは順番に読んでいくと、背景のスウェーデン社会の変遷もうっすらとかいまみられて(どこも世知辛いのですが)、いいですよ。脇のキャラクターも味わい深いし。ドラマもあるんですよね、いつかちゃんと見てみたい!
by rivarisaia | 2011-09-26 00:10 | | Trackback | Comments(6)

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