Tree of Codes:ダイカットで紡ぐ詩

けっこう前に入手してたけど、ようやく読み終わった。

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Tree of Codes』Jonathan Safran Foer著、Visual Editions

著者はジョナサン・サフラン・フォア。日本でも2作翻訳されていて、個人的にはいろいろな点であざとい...という印象を抱いてしまう人なのですが、2作目の『Extremely Loud and Incredibly Close(邦題:ものすごくうるさくて、ありえないほど近い)』でも、写真の使い方とかあざとい…とか言いつつ、その写真に泣いた私です。

結果として、好きなのか苦手なのか、選ばれし読者でないのかどうなのか、自分でもよくわからない作家ですが、気になる人なのは確か。紙のレイアウトにおさまらない物語を紡ぎ出したい人なのかもしれないなあ。『紙葉の家』や『紙の民』ほど突飛でもなく、ゼーバルトほどさりげなくもないんだけど。

というわけで、全ページがダイカットの本の著者がジョナサン・サフラン・フォアと聞いて、なんだか納得した私なのであった。

フォア自身が大好きだと語る本、ブルーノ・シュルツの『The Street of Crocodiles(邦題:肉桂色の店)』の文章を切り抜いて、新しい小説を作るという試みにより、全ページがこのようになってます。Visual Editions の本書紹介ページにもページ拡大画像があります。

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とても読みにくいです。ダイカットの下から覗いてる単語もあわせて読むのだと最初思ってたら、まったく意味が通らず、基本それらは無視して1ページずつ読む方式だと把握したものの、そうなると下から覗いてる単語がジャマである。

下に紙を挟んで読みたくなっちゃうのだが、この読みづらさも物語に影響を与えてる気がするし、下から覗く単語がまた不穏な雰囲気を出しているので、ひたすら読みづらいまま読んだ。

あらすじは…なんと説明したらいいでしょう。

狂った父。父を狂わす母。それをじっと見ている息子。地図から消える町、やがて地球に衝突するかもしれない彗星。
世界は徐々に崩壊していく…


こんな感じ? 小説というより、散文というか詩。私の理解では、この本のページのように物語全体にぼこぼこと穴が開いていて、ほんやりした印象しか持てない。穴があいて単語が欠落している、という状態が本の中に無数のヴォイドの存在を感じさせ、じわじわと迫る崩壊を予感させる文章にどこか不気味な空気を織り込んでる。そして時折、ハッとするような美しいフレーズがページに浮かび上がっているのでした。
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by rivarisaia | 2011-10-17 17:41 | | Trackback | Comments(0)

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