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見たもの読んだものについての電子雑記帳


by 春巻まやや
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ミヒャエル

私の国際映画祭は昨日から。今年はあんまり本数見ませんので、忘れないうちにどんどん感想を書いておく。

1本目はオーストリア映画です。最初ドイツの話だと勘違いしてたので、家や町がドイツっぽくないなーと思ってたら、舞台はオーストリアだった(そういう台詞が出てくる)。監督もオーストリア人。ハネケの作品などのキャスティング・ディレクターとして活躍してる人なのね。

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ミヒャエル(Michael)』監督:マルクス・シュラインツァー


平凡な会社員ミヒャエルの生活を描いた話…なのだが、実はこのミヒャエルは自宅の地下室に少年を監禁しているのだった。

私はペドフィリアの話はフィクションであっても不快に思うので、実は本作をみるかどうかすごく迷ったんですけど、予感通りあからさまな描写はほとんどなく(もちろんそれを匂わせる描写はある)、その点ではあまり不快にならずにすんでよかった。

まあ、途中で「おい、おっさん、お前何してんの?」という場面もあったけど、少年にあっさり冷たくスルーされてましたね、ミヒャエルさん…。

ハゲ具合と顔立ちがERのグリーン先生と同じ系統であるミヒャエルは、その異常な点をのぞけばあとは平凡な人、というより、むしろとても不器用でドン臭い上に、短気でカッとなりやすいタイプ。そんなミヒャエルの生活を淡々と見せられるのに耐えられるだろうか…と映画の出だしで不安がよぎりましたが、心配は無用でした。

異常者の異常な部分を画面から極力排除して、あくまで平凡な一面にクロースアップしているため、時折ゆがみが現れて、静かに緊張が走ったりするし、予想外の事態が起きたりする。また、異常な内面をはっきりと見せないので、彼が何を考えているのかよくわからないため、先の行動も読めない。

結末に向かっての展開も予想外でした。

ラストショットは秀逸で、これまで平凡な人だと皆が考えていたミヒャエルの、暗部がまさに開かれようとするところで終わる。私も監督だったらあの構図で止めるだろうな。あの後どうなったんだろう。
by rivarisaia | 2011-10-24 22:45 | 映画/洋画 | Trackback | Comments(0)