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見たもの読んだものについての電子雑記帳


by 春巻まやや
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リトル・ドリット(BBC版)

今年ね、ディケンズ生誕200周年なんですよ(2月が誕生日)。英国では Dickens 2012 というサイトもできていて楽しそうなので、私もディケンズ祭を細々と開催したい。

そんなわけでBBC制作ドラマ『リトル・ドリット』を見ました。大変おもしろかったので、盛大におススメ! 原作読んだのは大昔なのでうろ覚えだったけど、見ているうちに記憶が蘇った。

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リトル・ドリット(Little Dorrit)』(BBC制作)

ざっくりしたあらすじ。

父の仕事で長年東洋に暮らしていたアーサー・クレナムは、父が死の間際に言い残した言葉に疑問を抱きながらイギリスに帰国。母の家でお針子として働く "少女" リトル・ドリットに出会う。

そのリトル・ドリットと呼ばれているエイミーは、借金を払えない人々が収監される債務者監獄マーシャルシーの囚人の娘であり、監獄で生まれ育ったのだった。エイミーは親切なアーサーに心惹かれていくが…

はたしてアーサーの家族が隠していた秘密とは? エイミーの愛のゆくえは?


大筋はそんな感じですが、ディケンズらしく、善良な人から極悪人までさまざまな脇役が登場して、話に絡んできます。

金持ちから一気に貧乏に転落する人もいれば、貧乏から一転して金持ちになったものの、うわべだけとりつくろって、ハタから見ると非常に滑稽なことになる人もいる。
ザ・お金に翻弄される人々が織りなすドラマ。

背景となる社会状況も、たらいまわしのお役所仕事、巨額の融資、にわか成金に株の暴落やら経営破綻…って、まさに今みたいですね。っていうか、今も昔も変わってないじゃん。

謎が謎を呼んでハラハラしたり、コミカルで笑っちゃったり、なんとも切なくなって涙出たり、失恋にロマンスにイタリア旅行あり…とてんこ盛りの物語ですよ。全部盛り!

メインの主人公はふたりです。ちょっと紹介しておきます。

エイミー(リトル)ドリット:
リトル・ドリット(BBC版)_b0087556_295218.jpg

どこまで気だてがいいんだよ!と言いたくなるほど天使のような薄幸の女性。あの虚栄心でいっぱいの父、姉、兄とくらべて、なんだこの性格のよさ。小柄なので少女にしか見えないですが(話の筋からいくと実はここポイント)、21歳です。本人も子どもっぽく見られるのを気にしてます。

ドラマで演じてたのはクレア・フォイ。雰囲気あってるわー。


アーサー・クレナム:
リトル・ドリット(BBC版)_b0087556_210517.jpg

なんといいますか、気はやさしく、いい人なんですが、自信がなく、消極的で、人としてボンクラな部分があります。年齢はたしか40くらいだけど、気持ちが枯れてる人です。少年時代があまりに暗かったせいでしょうか。原作では、自分のことなのにすぐ夢想の世界に逃げるんだよな(わかるけど)。しかしあまりに鈍感すぎて、うわあああ!とこちらが頭を抱えたくなることもしばしば。

ドラマで演じてるのは『プライドと偏見』『ハウエルズ家のちょっとおかしなお葬式』『大聖堂』などのマシュー・マクファディン。この人「困った顔がステキな俳優ベスト3」に入るくらい大好きなんですけど、私の好みとしてはヤセてほしくないとはいえ、ややふくよかにおなりになってましたが、アーサー役はハマリ役でした。

番外として特別にこの脇役も紹介しておきたい。

ジョン・チヴァリー:
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監獄マーシャルシーの門番の息子。原作読んだ時も不憫だなあと思ったような記憶がうっすらあるけど、ドラマで見たらもう不憫すぎて、ジョン君のせいでボロ泣きですよ、特に最終回。「I may not be a gentleman, but I am a man.(中略)All the time I was breaking my heart over her, she was breaking hers over you.」とかジョンに言わせるなよ……(号泣)

さて。

対照的なキャラクターが登場するのもまた味わい深く、たとえば、根が善の孤児vs性悪の孤児、プライド高いエイミーの父vsクラリネット奏者のエイミーの叔父、優しそうだけど貪欲な家主vs実はまっすぐな家賃取り立て人などなど、脇役に注目しても楽しめます。

原作を読み返したいけど、なんと邦訳は絶版…。なんでだよー! 英語で読めばいいんですが、英語で読みたくない人はドラマ版をおすすめします。最終回は怒濤の展開すぎて、やや駆け足だったとはいえ、よくできたドラマだと思う。

日本ではCSで放映されて、字幕版は有料ですがネットで見られます。私がみたイギリス版は全14話だけど、字幕版は30分のエピソードを合体してるので全8話。

セットや衣装もかなりいいので、19世紀イギリスに興味のあるひともぜひどうぞ。
Commented by Chiaki at 2012-01-29 21:15 x
こんばんわ。
マシュー・マクファディン!私はこの人「ハウエルズ家のお葬式」やなんかで何となく気になってたのですが、ようやく顔と名前が一致しました。確かに困り顔似合いますね(笑)。今日録りだめていた「大聖堂」を見て、さらに納得です。ああスッキリ!
この人がメインをつとめていたドラマMI5は昔二、三話見ただけでやめてしまったのですが、どう考えても冷徹な秘密組織のリーダーには不向きそうでしたよ。
Commented by rivarisaia at 2012-01-30 17:25
どうも! 『ハウエルズ〜』の時のマシューはサイコーですよね!

MI5も私はこの人目当てで見ていたといっても過言ではないのですが(いなくなってから見るのやめちゃったし)、やっぱり後半のほうの彼は困ったオーラをまとっておりましたよ…。

困り顔ベスト3に確実に入るほど大好きなんですけど、たまに変な髪型(例『フロスト/ニクソン』)や似合わないヒゲ(例『三銃士』)で登場されると、私のほうが困り顔になります…。最近ふくよかになりつつあり、そっちも心配だ…。

あ、他の映画についてはまったく感想書いてなかった…いつか書こう…。ええと宿題。

Commented by chiaki at 2012-02-06 21:44 x
MI5、途中でいなくなっちゃうんですか。やっぱりリーダーが困ってばかりだと立ちゆかなかったのでしょうか。

「大聖堂」では確かにだいぶふくよかでしたね。この辺で歯止めをかけててほしいですね!

ところで春巻さんのツイートで知った「ボルジアズ」、大興奮です!素材もさることながら、ニールジョーダンは最愛の監督の一人なので。日本でも早く見られるといいなあ。
Commented by rivarisaia at 2012-02-07 21:29
MI5では、なんといいますかずーっと女運に恵まれない感じで(同棲してる女がイライラするキャラだったり、その後スパイと付き合って失敗したり)、シーズン3早々に何もかも疲れ果てて退職、という感じでございました。いやあ、困ってる原因がつきつめて考えると「女」ですからね!どうなのそれは…。

ちなみに次回は『アンナ・カレーニナ』映画版に出演するようですが、似合ってないヒゲ面でかなりふくよかだったので、微妙です…。オブロンスキー役なので太ってていいんだけどさ…。

「ボルジアズ」楽しみですよね!!!



by rivarisaia | 2012-01-14 02:26 | 海外ドラマ | Trackback | Comments(4)