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フロスト×ニクソン

実在の人物をとりあげた映画は、その人がまだバリバリ現役か存命中、あるいは亡くなって間もない場合には観ていて居心地が悪くなることがあるのですが、この映画はなかなかおもしろかった。2009年のオスカーにノミネートされてましたが、オスカーって伝記映画好きですよねえ。

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フロスト×ニクソン(Frost/Nixon)』監督:ロン・ハワード

アメリカきっての悪役大統領のひとり、ニクソン。ウォーターゲートで辞任に追い込まれたけど、罪を認めることはなかったニクソンに対し、辞任から3年後、英国人司会者フロストが単独TVインタビューを行うことになるが…という話。インタビュー自体は実話ですが、本作の原作は舞台劇です。

話としては非常に地味なのに、これがなかなかハラハラさせられます。というのも、どうも軽薄そうで女好きな司会者フロストさんがインタビューを行いたいのは、ジャーナリストとしての正義感からというよりも、むしろアメリカで成功したいという野心からであり、のっけから交渉もうまくいかないから。番組のスポンサーも見つからず、どうするのかと思ったら、自腹を切るフロストさんなのだ。え、自腹? ここで彼には侠気を感じたものの、さぞかし先行き不安だったろうなと胃が痛くなっちゃった私である。

ちなみにそんなフロストさんを、信頼しつつ、でも内心は相当不安げなまなざしでサポートしているプロデューサー、ジョン・バート役でマシュー・マクファディンが出演してます。さらにニクソンを大統領時代から全力でサポートしているジャック・ブレナン役がケヴィン・ベーコン。フロスト役はマイケル・シーン(この人うまいよね)、ニクソン役はフランク・ランジェラ(ぜんぜん似てないけど存在感があった)。

実際のインタビューは、まるで格闘技の試合のようでもあります。みなぎる緊張感、水面下で繰り広げられる頭脳戦の末、どっちが勝つのか知っていても、最後の「彼」の表情にため息をつかずにはいられないのでした。

途中の深夜の電話のエピソードは余計な気もしたんですけど(あれは実話じゃないはず)、イタリア製の靴のエピソードにはじんわりくるものがありまして、ニクソンの弱さや敗北感を描くことで、これまで映画ではとかく悪役にされがちだったニクソンに対する優しい視線が感じられました。
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by rivarisaia | 2012-03-07 23:00 | 映画/洋画 | Comments(0)