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ファーストフード・ネイション

アメリカの田舎に住んでた頃に友だちの実家に遊びにいったらね、近くに肉牛集出荷所がありまして、毎日夕方のある時間になると、牛の香りが風にのってあたりに漂ってくるのでした。近くっていっても距離にするとけっこう離れてるんだけど、ものすごい数の牛が集められるからねー。

肉牛集出荷所といえば、この映画にも出てきますね。コロラドだけど。

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ファーストフード・ネイション(Fast Food Nation)
監督:リチャード・リンクレイター

ノンフィクション『ファストフードが世界を食いつくす』をもとにした、群像ドラマ。大きな話の流れは以下の3つです。

メキシコからの不法入国者の話:国境をこえてアメリカにやってきた密入国者たち。あるものは低賃金の精肉工場で働かされ、またあるものはホテルでメイドをし…

ハンバーガー・チェーン「ミッキーズ」のマーケティング部長ドンの話:バーガーの肉から糞便性大腸菌が発見されたという報告を受け、ドンは精肉工場の実態を探りに行くが…

ミッキーズでバイト中のアンバーの話:いつか町を出たいと思いながら真面目に勉強しているアンバーは、バイトにも精を出していたのだが、あるときミッキーズの実態に疑問を持ち…

どの登場人物も、巨大システムを動かしている小さな歯車でしかないので、これらの3つの話が微妙に重なりつつ、巨大なファストフード界の裏側をチラッとだけ見せてくれます。ほんのチラッと。巨大システムの陰謀が明らかになるというわけでもなく、黒い部分は闇に葬り去られちゃう、というか、巨大すぎてどうにもならないともいえる。

たとえば精肉工場の問題にしても、低価格にするには安い労働者が必要だし、大体さここで働いてくれる人なんて移民くらいだよ、衛生面だってコストを下げると徹底管理が難しいんだよ…といわれますと、まあその通りなんだけども…と遠い目になっちゃうわけです。

そこで登場するブルース・ウィリスが、「大体どこまで神経質なんだよ、肉なんて生で食わないだろ、大腸菌? 焼けばいいんだよ焼けば」と言い出すと、まあその通りなんですけども…と目線が宇宙にまで飛んでいっちゃいますよ。

そうしたなか、真っ直ぐな(ナイーブともいう)アンバーら若者がですね、不正を正すべく行動を起こそうとしてもですよ、「いや、柵開けたからって牛が逃げるわけないだろ、カウボーイの仕事なめんな」という気分になっちゃう汚れた大人が私です。

魔の作業「腎臓抜き」が登場する終盤が印象的。実際に、こうした過程を経て食卓に肉が並ぶわけですので、あまりグロテスクとは思わないのですが、むしろグロテスクだったのは、マーケティング部長ドンが「結局お前は長いものに巻かれたか!」というラストでございました。
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by rivarisaia | 2012-03-15 20:58 | 映画/洋画 | Comments(0)