Madeleine Is Sleeping

ようやくキーワードが「少女、めざめ、妄想」の本を読み終わりました。放置してから再読までになぜか間があいてしまった本なんですけど、2004年度全米図書賞の最終校補作品のひとつです。

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Madeleine Is Sleeping』Sarah Shun-lien Bynum著、Mariner Books刊行

これは好き嫌いがキッパリ分かれるだろうと予想される本で、最初に読みはじめたときには私はいったん挫折したのですが、心のモードを切り替えて再挑戦したら最後まで楽しみながらさくさく読めちゃった、というちょっと不思議な本。

というのも、構成が変わっているうえに文章が詩的なので、読むリズムをつかむのに私自身の方向転換が必要だったのよ。

フランスの田舎の村。マドレーヌは深い深い眠りにおちて、一向に目を覚まさない。ママンは庭のくだものでジャムをつくり、マドレーヌの兄弟姉妹はかわるがわる眠る彼女を覗き込む。シーッ! マドレーヌは眠ってるよ。


マドレーヌの夢の中には、背中に羽のはえたものすごく太った女性、身体が楽器になった女性、カストラートが登場する。頭のおかしな男と性的な体験をして罰せられたマドレーヌは修道院に入り、ジプシーの女に救出されてサーカスに入り、恋におち、写真家と三角関係になったりします。

いっぽうでマドレーヌの家族には少しずつ不幸がやってきて…。

でもマドレーヌはまだ目を覚まさない。


というようなあらすじ。現実と夢の境界がだんだん曖昧になってきて、マドレーヌの夢がやがて現実を浸食し、最後は夢なのか現実なのかよくわからなくなってくる変な話です。変といえば本書の構成も変わっていて、ひとつの章が1ページか最長2ページしかない。場合によってはひとつの章が1行しかないんだよね。したがって慣れると読みやすいです。エピソードによっては幻想的で楽しいものもある。

人によっては「はあ?」となりそうなエロティックでグロテスクでシュールな話ですが、文章が独特できれいです。フランスの絵本「マドレーヌ」そのままの展開も出てきたりしておもしろい。夢の中ではマドレーヌが恋人を助けるべく写真家と精神病院に潜入するかと思えば、現実社会では村人にそっぽ向かれたママンが眠るマドレーヌを精神病院に入院中の男と結婚させようと画策したりする(怖い…)。

なんとも不思議でミステリアスな思春期少女物語で、表紙がルイス・キャロル撮影の写真というのがすべてを物語ってますね。
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by rivarisaia | 2012-03-23 20:06 | | Trackback | Comments(0)

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