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人生、ここにあり!

みたかったけど、公開時に劇場に行けなかった作品。能天気なコメディなのかと思ってたら、面白おかしいと同時にさまざまな問題も描いていて、すばらしい作品だった。いい意味でとてもイタリアらしい映画。

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人生、ここにあり!(Si può fare)』監督:ジュリオ・マンフレドニア

原題の「Si può fare(シ・プオ・ファーレ)」は劇中にもあるように「People can do it=やればできる」の意味です。なんでこの邦題にしちゃったんだろうなー。人生、ここにあり、とはちょっと違う気がするよ。そのままの訳でよかったのに。

精神病院を廃絶させる法律、バザリア法が施行されたイタリア。患者は病院に入院するのではなく、グループホームなどで治療を受けながら地域社会と共存するようになりました。本作の舞台は、バザリア法が施行されて数年後のミラノです。

やる気に満ちた労働組合員のネッロは、あまりのやる気が逆に煙たがられて、精神病患者の共同組合に飛ばされてしまう。ところが、ネッロにしてみれば、彼らは精神病の患者以前に労働者。それなら、もっと実りの多い仕事をしようじゃないか、と早速「床を張る」仕事を請け負うことに…

熱血漢のネッロがすごい。ネッロにしてみれば、相手が「精神病患者」であることはほとんど関係なくて、最初から「自分と同じ労働者」という視点で対等に話しをするのである。上から目線じゃないのね。同情心もない。まわりの人が「彼らには切手すらまともに貼れない」と言うのを、「切手の貼り方にデザイン性がある!」と見抜くのだ。なら、このデザイン性を切手貼りで終わらせていいのか、もっとクリエイティブな仕事ができるのでは?

最初のほうは仕事で失敗があったりするのだが、予想外のミスが良い方向に転じて、ネッロ率いる患者組合は「モザイク貼り」の仕事を展開することになる。事業が軌道に乗り出したとき、どんなビジネスでも直面する問題が発生し、さらにある悲劇が起こる。彼らは乗り越えることができるのか?

性や恋愛の問題もじつにうまく盛り込まれ、悪気のない哀れみがどうやって人を傷つけるかも描いている。精神病患者はたしかに「ふつう」ではないのだが、健常者も紙一重のところがあって、実際にはそう大差なかったりもする。

全然泣く映画でもないんだけど、やる気を失ってしまったネッロに、メガネの患者が「これ笑えるから」とマンガがいっぱい詰まった箱を渡す場面でちょっと泣いた。

日本でこういう映画はちょっとつくれないだろうなあ。これが邦画だったら、もっと煽ったつくりになって、気持ちが醒めると思う。

最後に、理事長が最高でした。理事長!
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by rivarisaia | 2012-06-06 20:36 | 映画/洋画 | Comments(0)