Defending Jacob(ジェイコブを守るため)

評価が高くて気になってた本。止まらなくて一気に読んでしまい、頭がぐるぐるしているうちに感想も書いちゃおう。これはおすすめです。

b0087556_2124625.jpg

Defending Jacob』William Landay著、Delacorte Press刊

小さな町で14才の少年の刺殺死体が発見される。当初、地方検事補(ADA)のアンディ・バーバーが事件を担当をするのだが、容疑者としてアンディの息子ジェイコブが浮上。ジェイコブは殺された少年の同級生だった…


タイトルの通り「Defending Jacob=ジェイコブを弁護する」話。息子の関与が疑われ、当然アンディは事件から外されます。アンディも彼の妻も、息子ジェイコブは無罪だと信じているのですが、次々と息子に不利な事柄が明らかになってきます。でも、あくまで「不利」なんだけど、明らかな「証拠」じゃない。すごく微妙。どこまで息子を信じられるか、はたしてジェイコブは無罪なのか、有罪なのか、という話がひとつ。

それから、これは「容疑者」の家族が実際にどういう状況に陥るか、という話でもあります。保釈金を払ってから、裁判がはじまるまで、家族にとっては意外と長い。ノーマルな生活をしようと努力はするけど、神経がすりへってしまう。友だちもいなくなってしまうし、スーパーで呑気に買い物もできない。相当ストレスがたまるわけです。

殺人、法廷とくると、ああ法廷ミステリかという印象で、私も最初はそう思ってたんですが、読み終わってみるとちょっと違う。全体を貫いているテーマは親子の絆であり、夫婦の絆です。たとえば。自分の子どものことをどこまで知っているのか。どこまで信じられるのか。あるいは、自分の配偶者の気持ちをどこまで理解しているか。親あるいは子どもに対して、どこまで責任があるのか。

途中までは先が気になるもののややありがちな話にも思えたのですが、読了したいまはただ呆然としています。読み終わったあと、いろいろなことを考えさせられる本。読んだ人と一緒に「どう思うか」話し合いたくなる本です。内容は全然違うんだけど、数年前に読んで衝撃だった「ある本」を思い出しました。

ちなみに英語は難しくないです。難解な法廷用語も出てこない。また、ウィリアム・ランデイは他の作品も邦訳されてるので、これも翻訳出ると信じてたら、Twitterで早川から来年刊行予定だという情報をいただきました。やった!
[PR]
トラックバックURL : http://springroll.exblog.jp/tb/18413356
トラックバックする(会員専用) [ヘルプ]
※このブログはトラックバック承認制を適用しています。 ブログの持ち主が承認するまでトラックバックは表示されません。
Commented by chiaki at 2012-06-19 18:27 x
読みました。茫然としますねーこれは。語り手の父親はどこまで本当にジェイコブの無実を信じていたのでしょう。映画化されるらしいですが、単純なサスペンス映画にならないといいですね。邦訳も楽しみです。
ところで春巻さんが衝撃を受けた「ある本」って何ですか?
Commented by rivarisaia at 2012-06-21 13:30
最後どう収拾つけるのか…と首かしげながら読んでたら、不意打ちくらった感じです。これって信用ならない語り手なのかな。映画化うまくいくといいですけどねー。

「ある本」は『We Need to Talk About Kevin』です。全然違う内容ですが、読後にぐるぐるしてるときに思い出しました。これも映画化されて(邦題『少年は残酷な弓を射る』)今月末公開なのですが、公開にあわせてついに邦訳が出るみたい(もう出てるのかな?)映画みたら本のほうの感想書きます〜。
Commented by chiaki at 2012-06-26 14:19 x
信用ならない語り手なのかなあ、と思いながら読んでましたが、あまりそういう技巧的な感じもしないのも上手いなあと思いました。

『少年は残酷な弓を射る』も俄然読んでみたくなりました。母と子だとさらに息苦しい感じがしますね。
映画の予告編も見ましたが、禍々しい雰囲気で良さそうです。
Commented by rivarisaia at 2012-06-27 22:51
語り手の信用度はサッパリわからない〜(だから余計に悶々とする〜)。しかも検事だし。

『少年は残酷な弓を射る』はまた全然違う話なんですけど、これは本のほうは信用ならない語り手でそれがまた一段と考えさせられます(たぶん映画のアプローチは違うと思うんだけど、おもしろそうですよね)。
by rivarisaia | 2012-06-08 21:03 | | Trackback | Comments(4)

見たもの読んだものについての電子雑記帳


by 春巻まやや
プロフィールを見る