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ル・アーヴルの靴みがき

公開したばかりの頃は大変に混んでいそうだったので、そろそろ空いてるかしらとようやく鑑賞。それでもけっこう人が入ってた。カウリスマキ監督らしい、底辺の人たちに対するやさしいまなざしに加えて、前作の『街のあかり』より寓話度が増していて、ひそやかに、でもものすごい奇蹟が起こるのだった。

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ル・アーヴルの靴みがき(Le Havre)』監督:アキ・カウリスマキ

フランスの港町ル・アーヴルで靴磨きをしているマルセル。妻とふたりで貧しいけれどもしあわせにくらしていたのだが、ある日とつぜん妻が病に倒れ、入院してしまう。そしてマルセルは、ふとしたことからアフリカからの密航者の少年を匿うことに…


主人公のマルセルは、パリにいたときは『ラヴィ・ド・ボエーム』のマルセルなのか、と家に帰ってから気がついた私です。そうか、あれから彼はル・アーヴルにやってきたのか〜。お金がナイのは相変わらずで、パン屋でこっそりフランスパンを持ち出したり、食料品屋ではツケが溜まっていたりするようす。

靴みがきで稼いだお金は、タンスの2番目の引き出しの中にしまってある空き缶に大事に貯めているのであった。

そんなマルセルに妻の病という不幸が訪れるけど、妻は夫に心配をかけないようにお医者さんに頼んで病名をひた隠しにするから、マルセルは不幸に気づかない。気づかないまま、あっさりと奇蹟が起きる。きっとこの「奇蹟」の天使はアフリカの少年の姿をしていたに違いないですよ!

天使が海をこえてひっそりとやってきて、ル・アーヴルの裏通りの人々は、密航者の行方を追うモネ警視でさえも、マルセルに協力してくれる。警察に密告しようとする悪魔の力も、人々のやさしい気持ちが束になれば適わない。チャリティのコンサートが開かれ、天使と握手をした妻はお金よりももっと大切な贈り物を手に入れて、小さな庭には桜の花が咲き、ささやかな日常が戻ってくるのである。世知辛い世の中はかくありたいものでございます。ああ、しあわせ。
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by rivarisaia | 2012-07-01 17:57 | 映画/洋画 | Comments(0)