サクリファイス:小説でロードレースについて知ろう

昨日ツールが終わってしまい、しみじみと感慨にふけっている私です。とはいえ、NHKで『シャーロック』のシーズン2が始まり、あまり興味ないとはいえオリンピックもあるし、いつもは流し見のブエルタも今年はちょっと楽しみなんだよね。

ところで。

自転車ロードレースって本当におもしろいんだってば、だからみんな見てよ〜と毎年あちこちで吹聴してるんですが、初めて見る人にとっては意味不明なことも多いだろうと推測するのである。

というのも、今年は日本人の新城幸也(あらしろ・ゆきや)選手がなかなかよい活躍っぷりで、そんな新城選手大活躍の日に、来日中の妹に「ほら、見てごらん!」とTV画面を指差したところ、

「なんで彼はどんどん走って1着でゴールしないの?」

という、至極まっとうな、とはいえ、いやあ実はそういうものじゃないのよ…という意見を言われたからです。

ジロ・デ・イタリアやツール・ド・フランスをはじめとする自転車ロードレースというのは、個人競技であって、個人競技にあらず。チーム競技でもあり、頭脳戦。その日走った区間で1番になる人と、何日間も走ったトータルで1番になる人、「山のぼり」で1番の得点をゲットする人、はたまた1番にはならないのだが、アシストとしてすばらしい働きをする人、とよりどりみどりなので見どころ満載なのだよ。ふっふっふ。

そこで、妹に勧めた小説がこれである。これを読めば、自転車ロードレースとは何ぞや、アシストって何する人やねん、というのがわかるうえに、実際にジロとかツールが見たくなっちゃうに違いない。

b0087556_20464826.jpg

サクリファイス』近藤史恵著、新潮社

自転車ロードレースのチームの一員である「僕」が主人公のミステリです。ロードレースというのはチームで参加するスポーツですが、チームには「エース」がいて、エースをサポートする「アシスト」がいる。主人公の「僕」ことチカは、アシストの立場なので、アシストとは何なのか、というのが、青春ミステリ仕立ての物語を読みながら、ざっくりと理解できるという小説でございます。

物語を読みながら、さりげなく自転車ロードレースの解説を聞く感じになるので、まるで興味のない人が読んでも面白く読めます。Amazonの評価では「リアリティがない」と書いてる人もいますが、基本はミステリで「人が死ぬ」わけですから、これでリアリティがあったら恐すぎるだろ! むしろあり得ないだろ…おい!と逆にツッコミを入れたいところです。

ロードレースにちょう詳しい人はいろいろツッコミたいこともあるかもしれませんが、私は小説として楽しみながらロードレースについて知ることができる入門書としていいんじゃないかな〜と思うよ。

本書を楽しんだ人は続編の『エデン』とさらに関連短編集『サヴァイヴ』もどうぞ。

ちなみに、私が自転車ロードレースを見るきっかけになったのは、イタリア語を習いはじめたときに、元同僚が言った「イタリアが好きならジロ・デ・イタリア見たらいいじゃん」の一言。最初はルールもさっぱりわからず、ただただ、イタリアの風景を眺めていたわけです。

それだけどもめっぽうおもしろいよ。ジロならイタリア、ツールならフランス、ブエルタならスペインの、旅行でもなかなか行けない街の名所が、城やら絶景やら大聖堂やらが、バッチリと見られます。それもふだん見られない角度の空撮で! 俯瞰で!

景色を見ているうちに、選手の情報やらレースの仕組みがわかるようになりますので、そうなったら楽しみも倍増というものです。

今年のスペイン1周の旅「ブエルタ・ア・エスパーニャ」は8月18日から9月9日までの開催です。選手の名前なんて知らなくても全然大丈夫。まずは夏の終わりのスペインの風景を堪能するっていうのもアリですよ!
[PR]
トラックバックURL : http://springroll.exblog.jp/tb/18708232
トラックバックする(会員専用) [ヘルプ]
※このブログはトラックバック承認制を適用しています。 ブログの持ち主が承認するまでトラックバックは表示されません。
by rivarisaia | 2012-07-23 20:49 | | Trackback | Comments(0)

見たもの読んだものについての電子雑記帳


by 春巻まやや
プロフィールを見る