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噂の娘

HDの空き容量を増やすべく、地道に録画を観ては消す作業中。残暑続くなか、1935年の哀愁ただよう邦画です。

噂の娘』監督:成瀬巳喜男

55分で三代続いた酒屋の没落を描いた作品。以前観たときは、短いから無理があるような気がしましたが、逆にこの短さがいいのだと思えるようになりました。

父の健吉とともに酒屋を切り盛りしている邦江。母は亡くなっており、隠居中の祖父は気前がよく(浪費家ともいう)、店の経営は傾きかけている。妹の紀美子は流行りのモガで遊びくらしており、店を手伝うどころかたびたび小遣いをせびってくる。


という、どうにも落ち目の老舗酒屋が舞台です。
さらに。

父・健吉は、儲けを出すために酒に細工をしているのであった。こっそり隠れてやっているのだが、ご隠居にも、邦江にもじつはバレている。


この家で、なんとかしなくてはと頑張っているのは邦江だけで、よい家柄の男性と見合いをし、自分が結婚して家を出る代わりに父親の妾に家に来てもらおうと画策します。じつは、妹の紀美子がこの妾の娘なのである。その事実を知らないのは紀美子だけ。邦江は、妹が本当の両親と一緒に暮らせたらいいと考えていたのだ。

邦江ちゃん…そんなに気遣いばっかりしなくていいのに(涙)

ところが。

邦江の見合いは、妹・紀美子にぶち壊される。しかも妹に相手を取られる始末…。そしてこの後、怒濤の崩壊が始まる。紀美子は、自分の誕生日に本当の母親が父の妾だという事実を知らされ、健吉は、酒を薄めているのがバレて警察に逮捕されてしまうのである。で、話はここで終わってしまう。

酒屋の行く末は、ご隠居の「なあに、看板がかわるだけだよ」という台詞と、向かいの床屋の「次は何になるのかねえ」 というあっさりとした、でも容赦ない一言で落着。邦江の努力は何ひとつ報われないのだった。

あらすじだけ書くとけっこう盛り沢山なのに、55分におさめる成瀬すごい。ここに書いてない細かい演出がおもしろいです。印象的なのは、見合い相手と妹が橋の上で一緒にいるところを船に乗っている邦江が目撃してしまう場面。でもさ、紀美子と相手の男性は結局は別れちゃってるんですよね。邦江が見たふたりはすでにうまくいってないふたりだったのかも。

店がつぶれたあと、邦江は幸せになったんですかねえ。結局「噂の娘」は、長女・邦江のことなのか、それとも破天荒な次女・紀美子のことなのか、うむーと考え込んでしまうのであった。
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by rivarisaia | 2012-08-25 16:31 | 映画/日本 | Comments(0)