Wonder(ワンダー)
2012年 10月 04日
When given the choice between being right or being kind,
choose kind. (Dr. Wayne W. Dyer)
正しいことをするか、親切にするか、どちらか選ばなきゃいけないなら、
親切を選ぼう。
上の文章はこちらの本に出てきます。この本はオススメ。今年の「これを読まずして年は越せないで賞」候補の1冊なので、ぜひ読んでね。
『Wonder』 R. J. Palacio著、Knopf Books for Young Readers
オーガストは10才。アイスクリームが好きで、スターウォーズが好きで、ゲームが好きで、どこにでもいるふつうの少年だ。内面は。
でもオーガストには、ふつうの少年とは違うところがあった。ふつうの子どもは、みんなからじろじろ見られたり、気味悪がられたりしない。
オーガストの外見はふつうじゃないのだ。
遺伝性疾患で顔に異常があるオーガストは、これまでは学校に通えず自宅で勉強していたのだが、いよいよ私立の学校に入学することになり…という話です。
オーガストは多くの生徒から気味悪がられたり、無視されたり、病気がうつると言われたり、あからさまに意地悪されたりする。それでも何人かの親しい友だちもできる。
本書はオーガストの視点だけでなく、彼の友人やお姉さん、姉の元親友や彼氏など、まわりの人たちの視点からも語られるのですが、ここが大変すばらしい点です。
オーガストと仲良くなるきっかけも、「ひとりぼっちでかわいそう」という同情心だったり、「仕方なく世話する」という義務感がきっかけなの。みんな最初は、やっぱり気味悪いと思ったりしているわけ。でもそれがだんだん本当の友情になっていく。途中でそこに大きな亀裂が入る事件が起こるけど、それも相手の言い分を聞くと、気持ちがよくわかります。そのつもりじゃなかったのに…ということは実際にあるよね。
オーガストをめぐって、いろんな形のイジメが起こりますが、こうしたイジメの問題を解決するのは、上にあるような子どもたちがお互いに「親切にすること」であり、同時に先生や親たちがしっかりと事態を把握して毅然とした態度を取っているからなのだった(先生や親の対応も重要なのである)。
J. M. バリーの「always to try to be a little kinder than is necessary」という言葉も最後のほうで引用されますが、親切にするのが難しい状況でもあえて親切を選ぶと、世の中少しはよい方向に進むんじゃないかしらね、と私も思う。
昨今のアジア情勢で差別的な発言をする人や、電車内へのベビーカー持ち込みやら座席を誰にゆずるべきかでいちいち苛立ったりする人がいるわけですけれども、そういう大人世界にも通じる気がしますよ。
by rivarisaia
| 2012-10-04 17:53
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