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海と大陸

今週はアメリカでいろいろなことが起こり、テキサスの何もない小さな町で肥料工場が爆発して大惨事になったり、ボストンのマラソンで爆弾事件があったかとおもえば、街中での捕物帳が行われた挙げ句に容疑者が移民だったりするのでなんともつらい。移民に対する風当たりが強くならなきゃいいですが。アメリカだけじゃなく、全世界的に。日本もふくむ。

さて、アフリカからの移民問題をテーマにした作品、というと、ああまたか…と食傷気味の方もいるもしれませんが、わたくし、本作は度肝を抜かれました。これは観るといいですよ。

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海と大陸(Terraferma)』監督:エマヌエーレ・クリアレーゼ

地中海の小さな島リノーサ。かつては漁業で栄えていた島もすっかり寂れてしまい、最近はバカンス時期の観光に力を入れはじめている。

20歳の青年フィリッポは、祖父のように漁師になりたい気持ちがあるのだが、生活のためには観光の仕事をせざるをえない。

ある夏の日、祖父と一緒に漁船に乗っていたフィリッポは、アフリカからの難民を乗せたボートに遭遇する。そしてフィリッポの祖父は、わけあって妊娠したアフリカ人女性とその息子をかくまうことになるのだが…。


イタリア人の知人いわく、「同じ欧州でも地中海に面してる国とそうじゃない国では、移民問題に対する感覚が違う。アフリカからの窓口になってない国は、もっと取り締まれって簡単に言えるよな!」だそうで、どんどん来ちゃうのに、どう追い返せっちゅーねん、事件は現場で起きてんだよ!みたいなところは本作でもうかがえます。

舞台となったリノーサ島はランペドゥーサ島のそばにあり、チュニジアやリビアに近い。移民の到着窓口のような場所なのである。

難民問題だけでなく、華やかなバカンスのイメージの影で貧しい島が抱えている問題も描かれており、先が見えないという点では、ギリギリで生活しているフィリッポの家族も、そこにかくまわれる難民の親子も、似たようなものです。

移民を取り締まらねばならない警察官。海の上で助けを求めている人を見殺しにできないと考える漁師たち。イメージダウンにつながるので、移民を追い出したい観光業の人。流れついた人たちを助けようとする観光客。

漁師のおっさんたちは、海の男らしくまっすぐなことを言うんですよ。本来はみながそうあるべきなんですが。

さまざまな考え方を目にしながら、傍観者である観客が頭のなかで理想論を練ってるときに、強烈な出来事が起こります。かなりショッキングで、あれは怖い。あんたなら、どうする? と言われたら、私もフィリッポと同じことするかもしれないよなあ。

その出来事は、フィリッポの心に(あと観客の心にも)トゲのように突き刺さるのですが、フィリッポはさすが漁師のじいちゃんの孫。そこから一歩、前に踏み出そうとするのでした。どうなるのかはわからない、というところで映画は終わりますが、うまくいくといいな。がんばれ、フィリッポ。
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Commented by col at 2013-05-03 18:38 x
はじめまして
いろいろ考えさせられる映画でした
理想論では済ませられない現実を目の当たりにして、、誰が正しいなんて言えないですね
欧州の問題は映画が先生です
またお邪魔します
Commented by rivarisaia at 2013-05-05 01:55
こんにちは。

ありがちな話…と思っていたら、あの中盤のシーンはかなりショッキングでした。ほんとに誰が正しいとかそういう問題でもないですよね。

社会問題については、映画や本でいろいろ考えたりすること多いですよね。難民問題についての映画では、本作はかなり良作だと思いました。
by rivarisaia | 2013-04-20 20:20 | 映画/洋画 | Comments(2)