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ニーチェの馬

きょうの東京はあまりの強風に「ニーチェの馬」状態でした。和菓子屋のご主人からもエレベータ待ちのご夫人からも「風強いですねえ」と言われたほどである。ところで最近の私は、風が強い日のことをニーチェの馬の日と呼んでいる。

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ニーチェの馬(A torinói ló/The Turin Horse)』監督:タル・ベーラ

ハンガリーの鬼才タル・ベーラの最高傑作と言われて、でも寝ちゃうかもしれない…とちょっと不安でした。ごめんなさい! それ杞憂でした。

世界の終わりに向かう6日間。

1日目、強風の中、片腕が不自由な男が荷馬車を御して家に帰ってくる。荒野に建つ一軒家には娘がいて、娘は馬を小屋に連れていき、父の服を着替えさせ、馬鈴薯をゆでる。父と娘は塩をつけて馬鈴薯を食べる。晩には虫の音が聞こえなくなる。

2日目、娘は井戸に水を汲みにいき、1日がはじまる。この日はひとりの男がやってきて、パーリンカをわけてくれと言う。どうやら町は風でダメになったらしい。人間のせいだ。そしてこの男は神はいないと、ニーチェのようなことを言う。馬が餌を食べなくなる。

3日目、アメリカに行くという流れ者の集団がやってきて、勝手に井戸を使うが、父親に追い払われる。

4日目には、井戸が枯れ、父娘は動かない馬を無理矢理馬車につけて旅立とうとするが、それもやめて家に引き返し、5日目には光が消え、なぜかランプもつかなくなり、火種もなくなり…

6日目は暗闇と静寂に包まれるのであった。

馬鈴薯もゆでられないので、暗闇でかりかりとかじるのである。父親は娘に「食べなくてはならぬのだ」と言う。

淡々とした物話で、ひとつの動作をえんえん長回しで見せたりする映画なのですが、なんでしょう、この強烈に後に残る印象は。静かにひたすら映像に圧倒されたんですが、しかしこれは、世界が滅亡にむかう6日間をなす術もなくくらす人の話なのだろうか。

世界の終わりじゃなくて、人生そのものを描いているのかもしれないけどね。
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by rivarisaia | 2013-05-07 21:02 | 映画/洋画 | Comments(0)