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グランド・マスター

おそらく宣伝の仕方や予告のつくりを間違えてしまったという、不幸な映画がたまにあります(過去にも『マスター・アンド・コマンダー』とかね…)。想像した映画と違う!となると評価が下がりがちだし、観てほしい人に届かない。

本作の宣伝だと、さまざまな流派の武術家がガチンコ対決をして一番強い人を決定する話+恋愛という印象を受けますが、まったくもってそういう話ではないので、むしろ、どうせカンフーアクションだろ…と敬遠している人の中にこそ選ばれし観客がいるのでは、と心配。

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グランド・マスター(一代宗師)』監督:ウォン・カーウァイ/王家衛

まず、これはウォン・カーウァイの映画です。『欲望の翼』とか『天使の涙』とか『ブエノスアイレス』とか『花様年華』とか『楽園の瑕』のウォン・カーウァイ。

そういう意味で、「すっごいよ~!もう大興奮!」とテンション高く飛び跳ねちゃう作品ではなく、しみじみと心の内側で静かに炎が燃える作品です。で、あとからじわじわくるものを反芻するのよ〜。

で、あらすじ。

詠春拳の宗師である葉問/イップマン(トニー・レオン/梁朝偉)や、八卦掌の奥義を受け継ぐ宮若梅/ゴン・ルオメイ(チャン・ツィイー/章子怡)など、激動する時代の流れに翻弄された武術家たちの人生を描く。


通常であれば激しく動的なアクションシーンが、静的でとても美しい。身体の動きの美に興味のある人(舞踊が好きな人やデッサンやってる人)はとにかく観るといいですよ。やばい…クロッキーしたくなる…という映画も久々です。

表の主役が葉問なら、裏の主役は若梅で、チャン・ツィイーが嫌いな私が「ツーイーたんがこんなにすばらしいなんて!」と誉め称えたいくらいの良さ。奥義を受け継いでるのにさ、女ってだけで早く結婚しろだの、結婚したら宮家の人間ではなくなるだの、うるさく言われて、あげく結婚しないと技を継承させる子孫ができないというね…泣ける…。しかし、彼女はまわりに流されることなく自分の人生を生きたような気がする。

で、そんな若梅と人生が交差する人物として、八極拳の宗師、一線天/カミソリ(チャン・チェン/張震)が登場します。彼も激動の時代に人生いろいろあったらしいことがサラッと描かれるのですが、張震のムダ使いと言いたくなるくらい本筋に絡まないので、初見時には一緒に観た友人と

「張震は何のために出てきたのか。もはや要らないキャラだったのでは」

などと、餃子食べながら話したんですけども、後になってから彼の存在が私の中でぶくぶくふくらんできまして、いまは香港で一線天が開いたという「白薔薇理髪店」のことで頭がいっぱいです。だって集合写真がこんなの。
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あんなちょっとしか登場シーンないのに、なんなの張震のこの存在感。もう白薔薇理髪店だけで1本映画撮ってほしい…。

それにしても本当に美しい映画でした。誰が強くて偉いとか、見た目(型)がどうとか、そういう上辺ではなくて、武術の根底に流れる精神を描いている作品といえばいいのかもしれません。30年代の娼館も出てきて、衣装も綺麗。美術が好きな人も観るべきだな。
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Commented by 森と海 at 2013-06-05 23:17 x
トニー・レオンが歳食っちゃって、笹野さんになっていた・・・。まあ予告編しか観てないけど・・・。
Commented by rivarisaia at 2013-06-07 21:39
笹野さんって…w チャンチェンの生え際もけっこうやばかったのですが、でもとにかくかっこいいのでぜひにー
by rivarisaia | 2013-06-05 21:14 | 映画/香港・アジア | Comments(2)