コリーニ事件

2冊の短編集『犯罪』と『罪悪』がしみじみと静かによかったシーラッハの長編小説。この「しみじみと静かによい」というところがポイントです。すっごいよ~!と興奮気味に大絶賛するのではなく、静かにじわじわくる良さ。前2作もおすすめですが、今回の長編もしみじみとよくて、最後静かにうるっときたね…。

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コリーニ事件』フェルディナント・フォン・シーラッハ著、酒寄進一訳、東京創元社

ベルリンで67才のイタリア人コリーニが、大金持ちの実業家の老人を殺害。コリーニの弁護を引き受けた新米弁護士ライネンだが、コリーニが動機を話さないうえに、殺された老人がかつての親友の祖父であることを知り苦悩するが…


殺害の動機は読んでいくうちになんとなく察することができちゃうけど、動機の謎に驚くことが重要な話ではなく、やっぱりそうなのかと思ってもなお心に刺さる。そこには辛い辛い過去があるのですが、法廷で明らかになる「法の抜け穴」については、そんなことになってるのかと驚いた。もっと驚いたのは、この小説がきっかけになって政治が動いたという現実です(あとがき必読)。

みんなにしみじみと読んでもらうべく、あんまり多くは語らないことにするので、ぜひどうぞ。

そしてシーラッハの本でとてもいいなと感じるのは酒寄さんの翻訳の文体と、本の理解を深める訳者あとがき。シーラッハはよい翻訳者に出会ったな~。
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Tracked from 笑う社会人の生活 at 2014-11-13 11:58
タイトル : ある事件、そして動機は・・・
小説「コリーニ事件」を読みました。 著者は フェルディナント・フォン・シーラッハ 短編で傑作を書いていた著者の初の長編 とはいえ本作も200ページぐらいと短めですが ストーリーはシンプルに弁護士が殺人事件の弁護を引き受けるもので 被告も罪を認めているが、動機...... more
Commented at 2013-06-07 22:17 x
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented by rivarisaia at 2013-06-08 14:22
確かに中編ぽいかも。「シーラッハ」だから書けた話には同感。こういう話ってへたすると薄っぺらくなっちゃうし。

同級生の話はすごいですよね。
by rivarisaia | 2013-06-07 21:38 | | Trackback(1) | Comments(2)

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