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赤線地帯

久々に観た溝口の映画で、世知辛い気分になったことであるよ。

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赤線地帯』監督:溝口健二

国会で売春防止法案が審議されている1956年前後。吉原にある「夢の里」で働く5人の娼婦たちの物語。


「夢の里」の主人が娼婦たちを前に「本当にお前たちのことを考えているのは俺たちだ。国に代わって社会事業をやってるんだ」と言うのですが(それも2度も)、なんだろこの既視感。今でもこういうこと言う人いるよねー!

ちょいと前の「お前は何を言っているんだ…」という従軍慰安婦の案件とか、そしてちょくちょく見かける生活保護関連のニュースとか、最近の世相と1956年公開の本作のあれやこれやが重なっちゃって、昔観たときよりも、無性にやりきれない気持ちになってしまい、初見時にびっくりしたあの前衛的音楽(註1)はそれほど気になりませんでした。音楽に関しては、むしろこれでよかった気もしてきたぞ。しんみりした音楽だったり、感情に作用する音楽だったりしたら、映画全体が湿っぽくなりすぎちゃったかもしれないし。

註1:本作は黛敏郎の「ヒョ~ロヒョロヒョロヒョロ」「ヒュウウウウウ~」という怪奇映画の効果音っぽいテルミンのようなあまりに前衛な音楽が、ときおり批判されておりますね。
確かに知らないとけっこうびっくりします...。


息子に捨てられて発狂する三益愛子も切ないのですが、最後のしづ子のアップで辛さMAX。やっぱりミッキー(京マチ子)ややすみ(若尾文子)のように他人は一切あてにせず、すっぱり割り切って冷酷に生きていくようでないとやっていけないよね。このすぐ後に赤線が廃止されることになるわけですが、若いしづ子はやすみのようにしたたかに生きていけるのだろうか。
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by rivarisaia | 2013-06-18 22:38 | 映画/日本 | Comments(0)