冬のフロスト

なかなか出ないから原書で読み終わっちゃったフロスト警部シリーズですが、そういや出ましたねー、邦訳。待ってたよ、大将!

芹澤恵さんの訳はほんと神がかってるので、フロスト警部を邦訳で読めるのは幸せだと思うぞ。

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冬のフロスト 上・下』R・D・ウィングフィールド著、芹澤恵訳、創元推理文庫

内容については、前に書いた『Winter Frost』の感想のほうでどうぞ。『冬のフロスト』は使えない男が使えなすぎて悲惨な目にあう人が出現し、それがあまりに気の毒すぎるので、じつはあんまり好きじゃないです。最終巻の『A Killing Frost』のほうが好き。この邦訳が出るのも楽しみですね。

さて、英語/原書と日本語/邦訳では、本の印象が変わるということはありがちですが、フロスト警部のシリーズは芹澤さんの日本語がぴったり合っているので原書も邦訳もイメージが変わらない。

今回登場する超絶使えないウェールズ男モーガンのことを、フロスト警部は「Taffy(ウェールズ人を指すあだな)」と呼んでるのですが、邦訳ではルビつきで「芋にいちゃん」になっており、いっぽうモーガンはフロスト警部のことを「guv」と呼ぶんだけど、こっちは「親父さん(おやっさん)」になってました。なんかしっくりきますね。

例を挙げるときりないんですけど、「Big Bertha」もビッグ・バーサとかじゃなくて「"でかぶつ"・バーサ」になっていたり、「a tatty fur coat=剝げちょろけの毛皮のコート」、「some nice kind balding gentleman=禿げちゃびんの紳士」、「kind balding gent=親切な禿げちゃびんの小父さん」ってなっているところがいいのよ。

剝げちょろけだの、禿げちゃびんだの、ふつう出てこない。でもフロスト警部なら言う。絶対言う。

フロスト警部の台詞はこんな調子です。

~baldies preferred, but many of them might not have started going bald when we arrested them.

禿げちゃびんであることが望ましいけど、禿げちゃびんも逮捕された時点ではまだ頭髪の具合はそれほど寂しくはなかったかもしれない。


これだけみても訳がいい感じですよねえ。わたしが大笑いしたのは、29ページの、

そう、世の中に絶えて署長のなかりせば、日々の心はのどけからまし。


これ原書どうなってたっけ?とみてみたら

Life was a joy when your Divisional Commander was away. (p.19)


もう、座布団10枚くらいあげてください!
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Commented by at 2013-10-01 20:48 x
読みました~。
でも、気がつくと、読んだ記憶しかないかもしれない。

謎解きではないからかもしれませんね。
しかし、待ったなぁというのも感想です。
Commented by rivarisaia at 2013-10-03 23:36
待ちましたよねえ。最終巻はいつになるのやら。

謎解きじゃないですよね、特に今回なんてフロスト警部のいきあたりばったり度が異様に高いし!
by rivarisaia | 2013-10-01 16:31 | | Trackback | Comments(2)

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