イヤー・オブ・ミート

ブッカー賞はEleanor Cattonの『Luminaries』に決定して、ルース・オゼキじゃなくて残念! で、先日、ルース・オゼキの話をしたついでに、絶版だけど邦訳が出ているこっちの本も。図書館で借りるか、あるいは原書で読むかなら『My Year of Meats』というタイトルでPenguin Booksから出ています。

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イヤー・オブ・ミート』ルース・L・オゼキ著、佐竹史子訳、アーティストハウス

日本の主婦にアメリカの牛肉を買わせるためのTV番組「マイ・アメリカン・ワイフ」。

アメリカ牛肉輸出協会がスポンサーのこの番組では、アメリカの「健全な」家庭を紹介しつつ、そのステキな家庭がつくる牛肉料理を、日本のお茶の間の主婦にアピールすることで米国産牛肉の販売を拡大することが狙いである。

アメリカでTV番組のディレクターをつとめるジェーン・タカギ。

日本人とのハーフで日本語を話せるジェーンは、番組の現地制作スタッフに選ばれる。しかしジェーンが選ぶ家族は、日本のプロデューサーのイメージに合わず、制作は毎回難航する。

日本のお茶の間の主婦ウエノ・アキコ。

番組のプロデューサーであるウエノの妻アキコは、番組を採点して同じ料理をつくるよう夫に命じられている。アキコの評価は夫の気に食わず、夫はときどき妻に暴力をふるうのだった。

やがてジェーンとアキコの人生は番組を介して大きく変化していく…


という話で、環境ホルモン、食肉汚染、メディア、同性婚をはじめとする家族のありかた、DV…といったテーマを描いています。アメリカのジェーンの考え方と(納得がいく)、日本のプロデューサー・ウエノの思考(日本社会の典型的な男性的思考でまるで納得いかない)の、深い深いギャップが、あるあるあるある!と頷きたくなるくらいです。

むかし読んだときは、環境ホルモンが恐ろしすぎる…と戦慄したものですが、いまなら家族のありかたや、DVのあたりが、この小説が出てから15年近く経つのに、あんまり日本変わってないかも…と愕然としちゃいますね。

先日紹介した『A Tale for the Time Being』では、ナオのイジメの描写が読むのがつらかったのですが、本書はアキコのDVの話がつらかった。プロデューサー・ウエノ、ほんとうにむかつく男なんだよ…。
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by rivarisaia | 2013-10-16 23:43 | | Trackback | Comments(0)

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