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バベットの晩餐会

先日溜まりに溜まった録画の整理をしていて、ワー懐かしーとか言いながら観たら、何故かボロ泣きした。昔観た時はそこまで感動しなかったんですけど、これが年の功というやつなんですか…。

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バベットの晩餐会(Babettes gæstebud、Babette's Feast)
監督:ガブリエル・アクセル

19世紀、ユトランド半島の寒村に二人の姉妹が住んでいる。牧師の娘である姉妹は敬虔なクリスチャンで、若かりし日には二人に求愛する若者たちもいたのだが、結婚はせず、村からも離れず、独身のまま年老いていく。

老女となった姉妹のもとにフランスから亡命してきた女性バベットがやってきて、家政婦として働くようになる。バベットが来て14年が経ったある日、亡き牧師の生誕100年を記念したささやかな晩餐会を催すことになる。1万フランの宝くじに当たったバベットは、その晩餐会を自分に任せてほしいと言うのだが…


最初に観たのは異国の地の閑散とした映画館で、公開当時、町のフレンチレストランが「バベットの晩餐会と同じメニューが食べられます」企画をやっていた(日本でも同じような催しがあったと友人から聞いた)。すんごく食べたかったけど、一緒に行く人もいなければ、そもそもそんなお金もなかった私である。残念だ。無理してでも行けばよかったな。でも「本物の」ウミガメのスープはさすがに無理じゃないかなー。

二人の姉妹が住む村は本当に寒々しく、こんな場所でずっと暮らすというのはどういう気持ちがするんだろうと昔も今も遠い目になってしまうくらい、絵に描いたような寒村なのだった。

この場所から離れずに、いかにもプロテスタントらしい清貧生活を営んできた村人たちですが、だんだんと老人の嫌な面が性格に表れるようになり、晩餐会の前あたりにはいよいよギスギスした淀んだ空気がたちこめてます。しかしバベットの晩餐会のおかげで、人々の心の澱みはすっかり洗い流されるのでした、という話です。

バベットに懇願されて、晩餐会を任せたはいいけど、ウミガメやらピヨピヨ鳴いてるウズラやら牛の頭やらが台所に運び込まれ、老姉妹は「魔女の饗宴か!」と恐れおののきます。バベットはフランス人なのでカトリックなのかもしれない。したがってプロテスタントがカトリックを怪しむ視線にも通じるものがある気がしたけど考えすぎかしら。とにかく、いたく動揺した老女は「何を食べさせられるかわからないのです」と震える声で村人に相談するのでありました。

バベットの人生については、料理人だったこと、パリの革命(パリ・コミューン)で夫も子どもも殺されてしまったこと、宝クジを買うのが唯一の楽しみであること、というのが明かされているくらいで、多くは語られません。12人分の料理が1万フランするカフェ・アングレの料理長だったことが、あとで分かる。

大したことない話のようでいて、とても泣けたのは、バベットの一世一代の晩餐会が崇高な芸術であると同時に、描かれていないバベットの人生が晩餐会の向こうにうっすらと透けてみえたからかもしれません。
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Commented by めいぷる at 2014-04-11 06:18 x
公開当時「ばあさんの映画とか辛気臭そう」と見に行きませんでしたが、今になって凄く見たくなりました。やはり年齢でしょうか。

ところで昔、日比谷三信ビルにあったフレンチレストランのクリスマスディナーにウミガメスープがでてきましたよ!
メインは鹿肉ステーキ!
その後にお好きなチーズをお好きなだけ!
フランスの人は胃が強いんですね。

私の胃は処理しきれなかったのか、その後10日間くらい体調が優れませんでした。
Commented by fontanka at 2014-04-11 23:30 x
「バベットの晩餐会」昔、深夜映画でみた気が・・・→ただし、その時は、せっかくの大金を一晩の晩餐会で散財した話と思ってました。
料理が芸術って考えもつかず。。。

最近、自分はつくづく「料理」に興味がないとおもってます。どんなにおいしくても「消えちゃうしなぁ」って。(殴)


Commented by minaco. at 2014-04-12 01:13 x
最近になってようやく観ました。うんうん、すごく同感です。あの何にもない(なさすぎる!)風景、清貧生活、カトリックへの視線、同じこと思いましたです。でも生きた鶉と海亀持ってこられたら、自分も恐れおののくと思うわ…鶉のパイ、ちょっと引くわ…(雀の焼き鳥みたいなもの?)

そうなんです、台詞も最小限で殆ど説明されないバベットなのに、最後にはちゃんと主役になってるんですよね。ああ、何とか彼女なりに過去への思いを遂げたのかなって思えて。「天国に持っていけるのは人に与えたものだけ」という教訓が残りました。
Commented by rivarisaia at 2014-04-12 19:27
>めいぷるさん
ばあさんの映画…www。前にみたときは、とにかくあの寒村の寒々しい風景とか心底イヤだったんですよ。最近はわりと平気。年齢ですかね…。

え、ウミガメスープ!すごい! しかもメインが鹿肉!ワイルドな肉づくしですねー。フランス料理って、特にコースになると、胃下垂の私としてはお腹がはちきれそうになるので、食べる前から想像して胸焼けが…。でもちょっとずつなら味わってみたいですー。
Commented by rivarisaia at 2014-04-12 19:30
>fontankaさん
いやー私もね、最初にみたときはずいぶんと思い切った散財だよな…と思ったんですよ。自分だったら無理ですよ。あんな思い切った使いっぷり。でも今回、ああ、これは芸術なのかと思ったんですよね…。いったい私の内面にどんな変化が!二度見るといいのかもしれないですよー。

Commented by rivarisaia at 2014-04-12 19:40
>minaco.さん
あの殺風景すぎる光景と村の人々の清貧っぷりに、しみじみとカトリックの国々にはない厳しさを感じました。もしかすると、もともと自然が厳しい土壌だからこそ、プロテスタントの厳しい教えのを受け入れやすかったのかもしれないですねー。

そして、そうですね、なぜかちゃんと最後にはバベットが主役になっているのがすごい。あの晩餐会はたぶんバベットのフランスでの人生の集大成だったのかな。これで過去とは決別できるのかもしれないですね。

しかし、私、あのウズラのパイは、頭部分を入れなくてもいいんじゃないのか?と思ったんですが、将軍がたぶん脳みそをチューッと吸ってたので「ああ…」と納得。バベットの手伝いをする小姓っぽい少年もなかなか将来性がありそうでよかったです。
by rivarisaia | 2014-04-10 20:11 | 映画/洋画 | Comments(6)