「ほっ」と。キャンペーン

百日草

東京国際映画祭の3本目は心に沁みる映画でした。思い出すだけでしんみりする……。

b0087556_23245791.png
百日草(百日告別/Zinnia Flower)』監督:トム・リン

交通事故で、婚約者を失った女性と、妊娠中の妻を失った男性。ある日突然、大切な人を亡くしてしまった二人が、喪失感に苛まれながらも、なんとか現実を受け入れて生きていこうとする100日間の物語。

百日というのは、初七日、五七日、四十九日……という法要の日数で、百日目は泣くのをやめる日(卒哭忌)だそうです。仏教の習わしに疎い私は、なるほど台湾ではそういう習わしなのかと興味深く思ったけれども、日本にも百ヶ日法要があることを後で知る。

事故では軽傷ですんだミン(カリーナ・ラム)。婚約者の母親は、息子の死に対する怒りをミンにぶつけてくる。葬儀では遺族側で参列させてもらえず、出せなくなってしまった結婚式の招待状をぼんやり眺め、料理人だった婚約者が残したレシピカードを見ながら食事を作り、そして新婚旅行で行くはずだった沖縄へ、彼女はひとりで旅立つ。

この映画は帳面派でもあるのですが、ミンと婚約者は沖縄で美味しいものを食べ歩くつもりだったらしく、行きたいカフェやレストランをまとめた旅の帳面が登場するんですよ。それを手に、ミンはひとりで黙々とまわっていくのね。曇り空の沖縄を。切ない……。

いっぽうで、怪我を負ったもののやはり自分だけ助かってしまったユーウェイ(シー・チンハン)は、事故を起こした加害者の家に怒りの電話をかけ(でも加害者は死んでしまっているのだった)、クリスチャンだった妻の友人たちの、無神経な言葉に憤り、腫れ物に触るように接してくる同僚に苛立ちを覚える。

やがて彼は、自宅でピアノを教えていた妻が受け取っていた月謝を返すために、妻の教え子たちの家を一軒一軒訪ねてまわるようになる。

ミンとユーウェイは、山のお寺で行われる法要の場で顔を合わせ、少し言葉を交わすだけの間柄で終わります。

百日の間に、淡々と時は流れていくようでいて、じつはいろいろなことがあり、自暴自棄になったり、自殺を考えたり、なんとか踏みとどまったり、怒ったり、泣いたり、そうしていくうちに時間が少しずつ傷を治していくのでしょう。傷痕は決して消えることがないにしても。

ハンカチ忘れると劇場で大変なことになりますが、本当にしみじみとよい映画なので公開されるといいなあ。では、予告をどうぞ。




[PR]
by rivarisaia | 2015-11-12 23:28 | 映画/香港・アジア | Comments(0)