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ラブリー・マン:東京国際映画祭2016

大阪アジアン映画祭で観た人たちの間で、とても評判が良かった映画で、何度か機会を逸してたけど今回ようやく観ることができました。

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ラブリー・マン(Lovely Man)』監督:テディ・スリアアトマジャ

敬虔なムスリムの少女チャハヤは、幼い頃に生き別れとなった父サイフルに一目会いたくて、母には内緒でジャカルタへと向かう。ようやく見つけた父親は、名前を変え女装して道で客を取る男娼だった。ショックを受けて泣き出してしまうチャハヤに対して最初は冷たくあたるサイフルだったが、一晩だけの約束で一緒に過ごすことになる。

父親は、おそらく元締めのお金に手を出していて、それを持って遠くへ行こうと考えている。いっぽう、娘のほうも、誰にも言えない秘密を抱えていた(父親にはお見通しなのだけれども)。

夜のジャカルタの映像がとても情緒的で美しく、今晩だけは付き合うけど、明日になったら親子の縁を切るのよ、と言う割には、きっとサイフルはずっと娘のことを忘れずに想っていたんだろうなとわかる、さりげない場面もあって、本当に切ない。翌日、駅での別れ際にサイフルがチャハヤに渡すものは、彼の運命を暗示するかのようで、サイフルは自分の未来をその昔捨てた娘に託すことにしたのかもしれないし、またそれは彼なりの罪滅ぼしでもあったのだろうけど、それ以上の何かもあったような気がする。

サイフルがあの後どうなったのかはわからない。でも「雨をよけるんじゃなくて、楽しみなさいよ」という彼のことだから、うまく切り抜けることができるかもしれないという淡い期待もあって、できれば私はそうであってほしいなと思う。

70分と短い作品だけども、大阪アジアンでの評判を聞いていた通り、本当によい映画。私の座っていた列では、はじのほうからすすり泣きが聞こえてきて、それが伝染して、たぶん一列並んでみんなで泣いてた。本作は「親密さについての3部作」の1作目で、残りの2作を観ることができなかったのがとても残念だったので、どこかでまた機会がありますように。

予告編



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Commented by 古島 at 2016-11-13 22:36 x
偶然ですが、私つい先日、インドネシアが舞台の漫画単行本買いました。楽しいです。深谷陽というひとの作品なのですが……・
東南アジアの大都市というと、不潔でごちゃごちゃのイメージ(逆にそこが魅力?)ですが、実際には多彩なのでしょうね。
Commented by rivarisaia at 2016-11-13 23:47
さっそく検索してみました。バリ島ウブドに住んでいたことがある方のようで、漫画も面白そうですねー!

私もウブドはとても好きな場所なんですけど、インドネシアは島ごとに全然雰囲気違うんじゃないかなあと想像していて、行ったことのない街の雰囲気を感じることができるのも映画の醍醐味だなあと思いました。
Commented by 古島 at 2016-11-17 07:47 x
ブログ主さん、気が向いたらブックライナー使ってみてください。
 ううむ。気が向いたらというか、安心して使えるインターネット端末がなくなってしまった(故障などで)とき便利だと思います。
  試してみてください。これは笑い話ですが、ラテンアメリカで働いていた人が奇妙な体験談を書いていました。現地で知り合った人に
「日本は島国なんだろう?カリブ海のどのへんにあるの?」
と質問され、困ったことがあるそうです。日本は、まだまだ遠い国なのでしょう。
Commented by rivarisaia at 2016-11-22 11:07
いつか試してみますね、ありがとうございます。

私も大昔、アメリカ人のルームメイトに「日本ってどこ? うわー大西洋こえて、さらにヨーロッパとロシアの先にあるんだね、遠いねー」と言われたことあります。地球は丸いので、太平洋側からアプローチするともうちょっと近い....
by rivarisaia | 2016-11-08 22:12 | 映画/香港・アジア | Comments(4)