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この世界の片隅に

こうの史代のマンガ『この世界の片隅に』のアニメ化。原作、私は大好きなのですが、映画も波の兎や空襲のシーンはじめアニメーションならではの表現があって、とてもよかった。それから街並みや家の中の様子がとてもリアル。ディテールに気を配っているので、画面にたくさんの情報が詰まっていました。もう1度観たい。

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この世界の片隅に』監督:片渕須直

広島市に暮らす、絵が得意でちょっとおっとりとした少女すずは、1944年(昭和19年)、軍港として栄えた呉にお嫁にやってくる。

すずさんの戦時下のくらしは、ほのぼのとしているように感じる人もいるかもしれないけれども、じわりじわりと戦争が生活を侵食していって、いつの間にか非日常が日常になっている。戦時下でも、人は日々暮らしていかなくてはならないので、辛いことにも、本当ならしなくてもよかった苦労にも、適応できるようになるのだと思う。空襲警報だって毎日毎日鳴っていれば、すっかり慣れてしまうのだ。

3月と5月の大空襲を経験している私の祖母も、戦時中の話を聞くと「そうねえ、まあ大変といえば大変だったかもしれないけどねえ」という調子で、仕方のないこととして世の中に適応しながら、すずさんのように日々の暮らしを支えていったのだろうけれども、戦争がなければもっと別の暮らしがあったんじゃないか、しなくてもよい苦労がいっぱいあったのではないかと考えてしまってやっぱりつらい。そしてあんまり自覚のないまま戦争を「日常」として受け入れてしまうのもつらい。その代償のように、すずさんは大切なものを失ってしまう。

それでもすずさんは、この世界の片隅に自分の居場所を見つけることができるし、すずさんが広島市内で出会う孤児は、戦争が終わって新しい未来への「希望」なんだと思う。

いくつか削除されている箇所があって議論を呼んだりもしているけど、これは映画を観た人が原作も読んでみようと思うきっかけになったらいいんじゃないかなあ。この作品に限らず、映画をきっかけに原作が売れてくれたら嬉しい。

予告


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by rivarisaia | 2016-12-09 23:26 | 映画/日本 | Comments(0)