small great things
2017年 01月 27日
ジョディ・ピコーの新作は「差別」がテーマです。ページターナーで、一気に読んでしまった。日本において自分はマジョリティに属しているという人(私も含まれます)は特に読むといいですね。
『small great things』Jodi Picot著、Ballantine Books
シングルマザーでベテラン看護師のルースは、病院の産科病棟で働く唯一の黒人女性で、同僚からの信頼も厚い。
しかしある日、ルースが新生児の世話をしていると、赤ん坊の父親から「すぐに出ていけ、そして上司を呼べ」と言われてしまう。赤ちゃんの両親は過激な白人至上主義者だったのだ。
面倒を避けたい病院側はカルテに「アフリカ系アメリカ人の職員はこの患者に触れてはならない」と記載し、ルースは担当を外される。
そして、事件が起きた。
新生児室にたまたまルースしかいない時に、突然、その赤ん坊の呼吸が停止してしまうのだ。子どもに触れるのは禁じられているけれど、看護師としてはすぐに対処をしなくていけないというジレンマに陥るルース。彼女はその時、いったいどうしたか。
結果的に子どもは助からず、ルースは子どもの親から殺人罪で訴えられる。彼女の弁護士を引き受けたケネディは、裁判で人種差別問題を持ち出すのは得策ではない、とルースに伝えるのだが……
語り手は3人。黒人女性のベテラン看護婦ルース、白人至上主義者の父親ターク、そしてルースの弁護を請け負う白人の女性弁護士ケネディ。
あとから考えると、ルースのパートは事例集に出てきそうな典型的なエピソード満載なのがやや気になるし、今のアメリカを考えるとエピローグも楽観的すぎるかもしれない。でもピコーが本当に伝えたいことは、タークとケネディのパートにある。
タークを見て、多くの人はこう思うはず:白人至上主義者って頭おかしいんじゃない? 自分は絶対にこんな差別はしない。
しかしケネディはこう言う:地球上の白人至上主義者をひとり残らず火星に追いやったとしても、差別はなくならないのです。
なぜなら偏見を持っていない人などいないから。それに、レイシズムはヘイトだけの問題ではなく、力を持つ者と持たざる者の問題でもあるから。
著者あとがきを読むと、ピコーは黒人読者からも白人読者からも反発がくることは覚悟の上でこの物語を書いたことがわかる。私が楽観的すぎると感じたエピローグも、現実に起こりうることだった、というところに、おそらくピコーは「決して希望を捨てないで」という想いを込めたのではないか。教科書的な小説という批判もあるかもしれないけど、考えるきっかけになる1冊だし、今読まれるべき本だと思います。
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rivarisaia at 2017-02-16 22:57
by rivarisaia
| 2017-01-27 19:09
| 本
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