「ほっ」と。キャンペーン

ミュンヘン:情報屋という存在

ミュンヘン』は実はDVDになるのを待つ予定だった。

しかし、WOWOWで『ブラック・セプテンバー』をたまたま見たところ、あまりに内容が衝撃だったため気分が盛り上がり、『ミュンヘン』も見るぞーと、公開直後に映画館に足を運ぶことに。

『ブラック・セプテンバー』が衝撃だったのは、オリンピックでテロがあったという事実よりも、人質が取られている建物のすぐ外で呑気に卓球をしている選手がいる映像であり、建物への突入作戦がテレビ中継されていたため犯人にバレバレであったという「どうして誰も気づかないの?報道規制しろよ」という対応策であり、飛行機に突入するハズの部隊が「危険だからやめよう」と勝手に判断して帰っちゃったことを別の部隊が知らなかったという、とんでもない事実だった。何やってんのか!?ということが、悪の連鎖反応のように次々に起きる。その結果が、人質全員死亡という現実だった。

さて、『ミュンヘン』ですが、上映時間の長さが意外と気にならなかったのは、さすがスピルバーグのなせるワザなのでしょう。最終的に、祖国のために暗殺を行なってきた主人公は、イスラエルを捨てて米国に移住することになってしまう。そしてラスト。主人公が今まで自分に暗殺指令を出してきた人物を食事に誘って断られるシーン。背景に映るWTCがさりげなく象徴的でした。映画見て、うわぁモサドってひどいわーとか思ってるアメリカ人に、でもさお前らもアフガンやイラクをやっちまえーって思ったんじゃないの、やってることは同じじゃん!とツッコミを入れている感じ。世界は結局どこも変わってないということか。

ところで、この映画で一番注目してしまったのが、フランスの情報屋ルイの存在。のっけから怪しいオーラを発していて、いつかコイツが何かやらかすに違いないとずっと期待してました。ちょっと見方が間違っているような気もするが...。

しかし後に原作の『標的は11人 モサド暗殺チームの記録 』 (ジョージ・ジョナス著 新庄哲夫 訳 新潮文庫)を読んで、映画では描いてなかったルイ親子の凄さに改めて驚きを覚えました。イギリスのホテルでとある人物が殺されるのですが、本では主人公がルイに電話をかけてその後始末を頼むのです。主人公が電話をしてから15分後、ルイのパパから「ホテルに戻り、こちらの配下が行くまで待て」との電話があり、さてそのわずか30分後ホテルに遺体収納袋と運搬車を持参した「パパの配下」の3人組が駆けつけた...。そして遺体の始末も、血の付いたシーツも、ホテルのチェックアウトもすべて問題なく引き受けるので、指定された場所で待っていろ、と主人公に伝える...。

ひーえー。ルイ親子のこのスゴさは何ですか? 

文庫に付いている「取材ノート」には、元カナダ連邦警察保安局長官が、本書で最も信憑性が薄いのは、ル・グループ(ルイ親子の組織)というアングラ組織だと言っているのに対し、
イギリスの情報問題専門家のイアン・ブラックは「本書で最も興味をそそるのは—そして私見によれば最も説得力ある個所は—暗殺チームがル・グループと称するフランスの犯罪組織に依存したくだりである」
と書いてあります。本当に存在するのか、それとも作り話なのか、ナゾがナゾを呼び、ますます興味深いルイ親子。映画では、Mathieu Amalric(マチュー・アマルリック)がルイを好演しています。ちなみに、6月公開の『キングス&クイーン』で2004年にセザール賞の主演男優賞を受賞しています。
[PR]
Commented by 朝夕 at 2006-05-02 16:57 x
Blogおめでとう。
興味をそそりますねえ、ルイ親子。きっとモラルにも関係なく色んな組織からの汚れ仕事を引き受けて最後まで残っているに違いない。(笑)
そういえば、パルプフィクションでもハーヴィー・カイテルがMr.ウルフとして同じような役をやってたような。サミュエル・L・ジャクソンの演じる殺し屋が後始末に登場した彼を見て「伝説のMr.ウルフに会えるなんて~」と感動していたのを思い出してしまった。
Commented by rivarisaia at 2006-05-03 03:11
どうもー。ルイの私生活が気になってしょうがないですよ。
Mr.ウルフはみずから作業してたけど、ルイは電話だけで仕事ですよ。
自分の手は汚さないらしい。今でも現役なのだろーか(笑)。
by rivarisaia | 2006-04-28 22:46 | 映画/洋画 | Comments(2)