待つこと、忘れること?

私は金井美恵子さんの本が好きなのです。金井ワールドにどっぷりひたれる小説もよいのですが、あの切れ目なく長い文体がとっつきにくいと言う人もいるので、積極的に他人にすすめることはありません(むしろ、ふとしたことから知り合いが「じつは金井さんのファンである」と発覚する状況が楽しい)。

しかし、あの語り口が苦手という人でも、エッセイならどうでしょう。どれも毒舌というか辛辣というか、容赦ないバッサリ感がすばらしく、何度くりかえし読んでもまったく飽きないのですが、これは金井さんだから許される芸当であって、悪口は誰が書いても楽しく読めるというわけではありません。去年は『目白雑録(ひびのあれこれ)<2>』が出て狂喜乱舞(大げさですかね...)したのですが、早く3巻が出ないかと待ち遠しくてなりません。

金井さんといえば食に関するエッセイがあって、Amazonでは評価が低めなのが意外ですが、それがこの本。
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待つこと、忘れること?』 金井美恵子 著/金井久美子 絵 平凡社

たしかにほかのエッセイにくらべると、あっさりしている雰囲気を感じるかもしれません。しかし金井さん独特の語り口で、胸のつかえが取れるような毒舌も健在ですし、食べ物の話に映画や本の話が絡んでくるので、想像力がふくらんで楽しさ倍増です。お姉さんの久美子さんによる飼い猫トラーちゃんの挿絵がたくさん入っていて、これも金井さんのファンとしてはうれしいかぎりですが、「料理の話に猫の絵じゃ食欲失せる」と言う方には、あとがきにもあるように「お買いあげいただかなくて、結構!」と答えるべきでしょうか。でも、私としては、こじゃれた雑誌の手づくり感あふれるお料理レシピよりも、よっぽど食べたくなる料理が出てくるんですけどね。
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Commented by ゆずきり at 2007-01-13 00:11 x
金井さんの悪口はおもしろいですよね。大昔、会社勤めをはじめて間もないころ、「ある程度の地位のある中年おやじは、自分でおもっているほどには常識をそなえていない」という要旨のコラムを新聞でよみました。、切り抜いて会社のファイルに貼って、そういうおやじに出会うたび切り抜きを読み返して溜飲を下げておりました。
Commented by rivarisaia at 2007-01-13 02:55
あ、読者を発見! そうそう、私も溜飲を下げることしばしば。そんな自分は
棚にあがっているのですが、理不尽なオヤジから仕事でヒドイ目に合わされると金井さんのエッセイを読んで気持ちを落ち着けておりました。
by rivarisaia | 2007-01-12 23:16 | | Trackback | Comments(2)

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